イラク武装解除問題

イラク武装解除問題

イラク武装解除問題は、湾岸戦争後、イラクと諸国の間で生じた複雑な緊張関係を指します。これらの問題は、1991年の湾岸戦争停戦から2003年のイラク戦争勃発までの期間に関するもので、特に大量破壊兵器の廃棄に関する国際的な合意と、イラクのフセイン政権の対応を中心に展開していきました。

背景

湾岸戦争は、1990年にイラクがクウェートに侵攻したことで始まりました。これに対し、国際連合安全保障理事会は決議660および678を採択し、多国籍軍による攻撃が行われ、イラクは敗北が決定的となりました。1991年4月には、国連決議687が採択され、和平条件としてイラクは大量破壊兵器を廃棄する義務を負いました。具体的には、生物兵器や化学兵器、核兵器、150km以上の射程を持つミサイル及びそれに関連する製造設備や資材の破棄が求められました。

フセイン政権の反応

しかし、イラクのフセイン大統領は、大量破壊兵器を保持する意向をちらつかせることで中東地域における影響力を維持しようとしました。このため、査察に対しては非協力的な姿勢を示し、検査官に対する妨害や情報の隠蔽を行なうことが多くありました。このようなフセイン政権の行動は、特にアメリカとイギリスの関心を引き、彼らの政府内でフセイン政権打倒の機運が高まる結果となりました。

国際的な動き

1991年の国連安保理決議688は、フセイン政権に弾圧された人々を保護するための措置を講じることを求め、特にクルド人やシーア派に対する保護が強調されました。これにより、アメリカ主導で北部と南部の特定区域に飛行禁止空域が設定され、イラク国内での武力行使に対する監視が強化されました。

経済制裁と攻撃

国際社会は、イラクに対して厳しい経済制裁を課しながらも、1980年代のイラン・イラク戦争時に使用された化学兵器の廃絶を求める動きが進みました。それに対して、アメリカは1993年にイラクに対する制裁攻撃を敢行し、さらなる圧力を強めました。特に、1998年には「砂漠の狐作戦」と呼ばれる大規模な空爆が行われ、大量破壊兵器の存在に対する疑念を背景に多国籍軍が軍事行動を行いました。

イラク戦争への道

1999年には国連監視検証査察委員会（UNMOVIC）が設立され、イラクにおける査察が再開されました。しかし、査察の進展が不十分であるとして、アメリカはイラクに対する軍事行動を正当化しました。2002年には、ブッシュ大統領がイラクを「悪の枢軸」と位置づけ、イラク戦争の準備が進められました。

結末

2003年3月19日、米英によるイラクへの攻撃が開始され、イラク戦争が勃発しました。戦争の結果、フセイン政権は壊滅し、大量破壊兵器の捜索が行われましたが、結局何も見つからなかったことが後に深刻な批判を招く結果となりました。

このイラク武装解除問題は、国際関係や戦争の在り方に深い影響を与え、多くの教訓を残しています。それにより、国際社会における主権国家の武力行使の正当化や国連の役割に対する疑問を引き起こしました。

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