イラン大統領選挙 (2005年)

2005年イラン大統領選挙の詳細解説

2005年イラン大統領選挙は、イラン・イスラム共和国における9回目の大統領選挙として、2005年6月17日に第1回投票、6月24日に決選投票が行われました。この選挙は、その結果だけでなく、選挙戦の過程やその後の論争において、イラン政治の複雑さを示す出来事となりました。

選挙の概要

この選挙で特筆すべきは、テヘラン市長であった強硬派のマフムード・アフマディーネジャードが、第一回投票で19.48%、決選投票で61.69%という高い得票率を獲得し、大統領に当選したことです。アフマディーネジャードの勝利は、彼のポピュリスト的な姿勢、特に貧困層への経済的支援を訴えたことが大きく影響したと考えられています。投票率は約60%に達し、これはアメリカ合衆国がイランの選挙の自由を制限していると批判したことへの反発を示すものでもありました。

前大統領モハンマド・ハータミーは、イラン・イスラーム共和国憲法の規定により、連続2期8年を超えることができないため、2005年8月2日に退任しました。

候補者選定のプロセス

立候補の届け出は1000人以上に及びましたが、ほとんどが監督者評議会の審査によって失格となりました。この評議会は、イランにおける全ての政治的選挙において、候補者審査の権限を持つ重要な機関です。第1回投票に進むことができた候補者はわずか7人で、選挙戦は混戦模様を呈し、アフマディーネジャードと元大統領のアリー・アクバル・ハーシェミー・ラフサンジャーニーが決選投票に進みました。ラフサンジャーニーは政治的に中道派であり、当初は最有力候補と見られていましたが、決選投票でアフマディーネジャードに敗れました。また、改革派の候補者であったモスタファー・モイーンは、選挙戦で支持を広げることができず、第1回投票で第5位に終わりました。

初めての決選投票

2005年の大統領選挙は、イラン史上初めて決選投票までもつれ込む選挙となりました。決選投票前には、2002年のフランス大統領選挙と比較され、ラフサンジャーニーがジャック・シラク、アフマディーネジャードがジャン＝マリー・ルペンのような役割を担っていると評されました。しかし、決選投票の結果、反アフマディーネジャード派の勢力結集が失敗に終わり、ラフサンジャーニーが敗北したことで、この比較は意味をなさなくなりました。

選挙をめぐる論争

第1回投票後、メフディー・キャッルービーらは、モスク組織、イスラーム革命防衛隊などがアフマディーネジャード支持のために違法な動員を行ったと非難しました。キャッルービーは、最高指導者アリー・ハーメネイーの息子モジュタバー・ハーメネイーが介入したと主張しましたが、ハーメネイーはこれを否定しました。また、ラフサンジャーニーも、組織的な不正介入があったとして、キャッルービーの申し立てを支持しました。改革派政党は、アフマディーネジャードが監督者評議会による不正な支持によって第2位になったと非難し、選挙管理者の行動は違法であると主張しました。

投票率とボイコット

イスラーム共和国政府は、投票率を重視していました。一部の有権者は、現体制への反対を示すために選挙をボイコットしましたが、知識人の中には、ボイコットが保守派候補の当選につながるとして、選挙への参加を呼びかける者もいました。

選挙日程

選挙の日程は、内務省と監督者評議会の協議によって決定され、候補者登録、選挙運動期間などが定められました。有権者は、一定の年齢以上のイラン国民であり、投票時間は延長されることもありました。

候補者について

1000人以上の立候補者の中には、女性も含まれていましたが、監督者評議会の審査によってほとんどが不承認となりました。審査を通過した候補者は、保守派、改革派など、様々な政治的立場を持つ人物が含まれていました。

選挙結果

選挙の結果、アフマディーネジャードが決選投票で勝利し、大統領に選出されました。この結果は、イラン国内外に大きな影響を与え、その後のイラン政治の方向性を決定づけるものとなりました。

結論

2005年イラン大統領選挙は、イラン政治の複雑さ、社会の多様な意見、そして選挙制度の課題を浮き彫りにした出来事でした。この選挙の結果は、イランの国内外政策に大きな影響を与え、その後のイランの歴史において重要な転換点となりました。

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