モハンマド・ハータミー

セイイェド・モハンマド・ハータミーとは

セイイェド・モハンマド・ハータミー（1943年9月23日生まれ）は、イランの政治家であり、1997年から2005年までイラン・イスラム共和国の大統領を務めた。彼はシーア派ウラマーで、「ホッジャトルエスラーム」の称号を持つ。ハータミーは、改革と自由を公約とし、その姿勢は広く知られている。日本のメディアでは「モハマド・ハタミ」と表記されることが多い。

経歴

幼少期と教育

ハータミーはイランのヤズド州アルダカーン市にウラマーの家系に生まれた。父親はアーヤトッラーで、ルーホッラー・ホメイニーとの友人関係を持つ開明的な人物であった。1961年にはゴム市のシーア派神学校に入学し、その後1965年からエスファハーン大学で哲学を学び始める。彼は当時、西洋哲学や思想に積極的に触れ、これが後の彼の広い視野に寄与したという。

1970年にはテヘラン大学院で教育学の修士号を取得し、その後はコムでイスラーム法や哲学の研鑽を続ける。1978年には在欧のイラン野党勢力を調整するイスラーム・センターの長としてハンブルクに派遣されるが、その後、イラン・イスラム革命に伴い帰国する。

イラン・イスラム革命から大統領就任まで

1979年にはケイハーン紙で最高指導者の代理を務め、記者の執筆自由を保障した。1982年には文化・イスラーム指導相として就任し、文化全般における検閲の緩和を進める。特に女性歌手のコンサートを許可し、西洋出版物の流通を認めるなど、広く人気を集めた。その後、保守派からの批判を受けつつも1992年にこの職を辞した。

彼は、経済政策として統制経済派に属し、バーザールの商人や高位のウラマーに支持され、文化開放を唱える立場を取った。ハータミーは「闘うウラマー集団」の創立者の一人とされており、その立場からも改革派の顔として知られていく。

大統領としての活動

1997年の大統領選挙では、国立図書館長やラフサンジャーニー前大統領の顧問を経て、予想を超える票を集めて保守派のナーテグ・ヌーリーに勝利し、5月23日に大統領に就任する。就任直後から国際関係の改善に努め、特に西側諸国との関係を重視した。彼はアメリカとの交流を図り、スポーツ選手団の受け入れを行うなど、国際的な姿勢を示した。

また、文明の衝突論に対抗して「文明の対話」を提唱し、2001年には国際連合によって「文明の対話年」とされた。しかし、アメリカとの関係改善は思うように進まず、国内では経済問題や保守派の影響力の強化に悩まされることになる。

2001年の大統領選では再選を果たしたが、後半には核問題や失業率の増加に直面し、改革が難しい状況となった。結果、2005年の大統領選で保守派のアフマディーネジャードが勝利することとなる。

私生活とその他の活動

ハータミーは結婚し、1男2女の父である。アラビア語、英語、ドイツ語を話し、多くの論文を執筆している。息子のモハンマド・レザー・ハータミーは建築家であり、ホメイニー家との縁戚関係がある。

2009年には再び大統領選に出馬を表明したが、最終的には撤回することとなった。彼の政治的キャリアは、改革派としてのビジョンと、実際の政治運営の厳しさを浮き彫りにしている。

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