イラン宇宙機関

イラン宇宙機関（ISA）の設立と活動

イラン宇宙機関（Iranian Space Agency; ISA）は、イランにおける宇宙開発を統括する機関として2004年に設立されました。本部はテヘランに置かれています。ISAは、イラン国内の宇宙科学、技術の平和的利用に関する全ての活動を総轄・支援する権限を持ち、イランの宇宙開発において中心的な役割を果たしています。ISAは通信情報技術省に属する自立的な組織であり、長官は通信情報技術省副大臣、かつ宇宙最高評議会のメンバーでもあります。

宇宙開発の歴史

ISAは、2004年2月1日に通信情報技術省の役割と権限に関する法律に基づいて設立されました。この法律は、2003年12月10日にイラン議会を通過しています。設立当初から、イランの宇宙開発は着実に進められ、2009年には初の国産衛星打ち上げに成功し、世界で9番目の衛星打ち上げ能力を有する国となりました。また、イランは国連宇宙空間平和利用委員会の設立時からのメンバーでもあります。

人工衛星の開発と打ち上げ

イランは、独自の人工衛星の開発・打ち上げに力を入れています。2005年には、ロシアの協力のもと、初の人工衛星「スィーナー1号」を打ち上げました。その後、国産ロケット「サフィール」の開発にも成功し、2009年には国産初の人工衛星「オミード」の打ち上げに成功しました。この成功により、イランは自国で衛星を打ち上げた9番目の国となりました。

さらに、2011年には「ラサッド1」、2012年には「ナヴィード」の打ち上げに成功。2013年には国産の人工衛星「ゾフレ」と「ナーヒード」が公開され、技術力を示しました。2015年には「ファジル」衛星の打ち上げにも成功しており、イランの宇宙開発は着実に進展しています。

国際協力

イランは、アジア太平洋宇宙協力機構（APSCO）の設立時からの有力メンバーであり、中国をはじめとする各国と協力して宇宙開発を進めています。特に、環境1号はイラン、中国、タイの共同研究衛星で、自然災害の監視を目的としています。

宇宙開発施設

ISAは、独自の宇宙開発施設を保有しています。主射場はEmamshahrに位置し、シャハブ3の打ち上げが行われています。また、ゴムでも打ち上げが行われています。2008年には、セムナーン近郊にイラン初の衛星発射センターが開設され、サフィールの発射や、2009年にはオミードがここから打ち上げられました。さらに、2つ目の衛星発射台の建設も検討されています。また、宇宙構造・システム試験用のラボも多数設立されています。

有人宇宙飛行計画

イランは、有人宇宙飛行計画にも意欲を示しています。1990年にはソ連との共同有人飛行の合意がありましたが、これは実現しませんでした。しかし、2005年には宇宙機と宇宙実験室を開発する計画が発表され、2010年には2017年までにイラン人初の宇宙飛行士を宇宙に送る計画が発表されました。2013年には、サルを搭乗させたロケットの打ち上げに成功し、有人宇宙飛行に向けた一歩を踏み出しました。2015年には、開発中の1人乗り有人宇宙船の実物大模型も公開されています。

今後の展望

イランの宇宙開発は、今後もさらに発展していくことが期待されます。独自技術の開発、国際協力の推進、そして有人宇宙飛行の実現に向けた取り組みなど、その活動は多岐にわたります。ISAは、イランの宇宙開発を牽引する重要な機関として、今後も注目されるでしょう。

参考文献

Iranian Space Agency
Space Science
Aerospace Industries Organization
イラン、3年ぶりの人工衛星打ち上げ成功 - 謎多き宇宙開発と、その将来 2015年2月18日 マイナビニュース

外部リンク

Iranian Space Agency
Space Science
Aerospace Industries Organization
イラン、3年ぶりの人工衛星打ち上げ成功 - 謎多き宇宙開発と、その将来
Videos
Youtube Video on Iran Space Program
* Iran's space technology program - Part I Part II Part III (PressTV documentary)

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