イル・ポスティーノ

イル・ポスティーノ (Il Postino)

『イル・ポスティーノ』は、1994年に公開されたイタリア映画で、実在の詩人パブロ・ネルーダの人生を元にした感動的な物語です。1950年代、ネルーダは彼の祖国チリを追われ、ナポリ湾に浮かぶカプリ島にある架空の漁村に身を寄せるところから物語は始まります。

物語の背景

作品はカプリ島に流れる独特の雰囲気を描写しつつ、ネルーダの生活を中心に展開します。実際に映画で使用されたロケ地は、ナポリ湾の近くにあるプローチダ島にある居酒屋兼食堂で、現在もレストランとして営業しています。この場所は映画に関連する展示もあり、多くのファンが訪れています。

ストーリー

物語は、内気でシャイな青年マリオを主人公にしています。彼は、父親の期待を裏切りつつも郵便配達の仕事に就きます。マリオの唯一の配達先は、チリから亡命した詩人パブロ・ネルーダの家でした。郵便を届けるうちに、マリオはネルーダとの交流を深め、詩や文学に魅了されるようになります。

彼らは浜辺でしばしば会話を楽しみ、友情を育みますが、やがてネルーダには島を去る日が訪れます。その後、マリオはネルーダの助けを得て、島のパブで出会った女性ベアトリーチェと結婚。彼は次第に共産主義活動に傾倒していくのです。

数年後、ネルーダが再び島を訪れた際、マリオは姿を見せませんでした。共産主義のデモで命を失っていたマリオの姿に、ネルーダは深い悲しみに暮れ、思い出の浜辺で涙を流します。

キャスト

出演者には、主人公マリオ役のマッシモ・トロイージ、詩人ネルーダ役のフィリップ・ノワレ、マリオの妻ベアトリーチェ役のマリア・グラツィア・クチノッタなどがいます。また、声優には佐古正人、久米明、唐沢潤が名を連ねています。

受賞歴

本作は多くの映画賞にノミネートされ、英国アカデミー賞外国語映画賞や日本アカデミー外国作品賞などを受賞しました。

備考

主演のマッシモ・トロイージは、撮影中に心臓病を患ってしまい、撮影終了の12時間後に他界しました。彼はスタッフに向けて「今度は僕の最高のものをあげるからね」と言い残したと言われています。これは、彼の献身的な姿勢を象徴するエピソードとして語り継がれています。

『イル・ポスティーノ』は、友情や愛、芸術の美しさ、そして切なさを感じさせる素晴らしい作品です。

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