イワオ・タカモト

高本厳夫（イワオ・タカモト、1925年4月29日 - 2007年1月8日）は、アメリカ合衆国で活躍した著名な日系アメリカ人2世のアニメーターです。本名は高本厳夫。カリフォルニア州ロサンゼルスに生まれました。彼の父は広島県からの移民であり、高本厳夫自身も13歳の時に日本を訪れた経験を持っています。

高本の人生は、第二次世界大戦によって大きく影を落とされました。日系人である彼は、マンザナール強制収容所に収監されるという苦難を経験します。しかし、この収容所生活の中で、彼は仲間からイラストの技術を学び、後に彼の才能を開花させる重要な経験となりました。

高校時代、映画芸術への強い情熱を抱いた高本は、19歳の春にウォルト・ディズニー社に入社するという大きな決断を下します。ディズニー社では、『ミッキーマウス』や『ドナルド・ダック』といった人気作品に携わり、着実に経験を積んでいきました。彼の才能はすぐに認められ、やがてキャラクターデザインにおいて重要な役割を担うようになります。12年に渡るディズニーでの勤務は、彼のアニメーターとしての基礎を固める上で非常に重要な時間となりました。

その後、政治的・経済的な理由から1961年、高本はハンナ・バーベラ・プロダクションへ移籍します。当時、アメリカでアニメーション制作を担っていた大規模スタジオは、ディズニーとハンナ・バーベラの2社のみでした。この移籍は、彼のキャリアにおいて新たな転機となります。

ハンナ・バーベラでは、『スクービー・ドゥー』（当時の邦題：弱虫クルッパー）シリーズのキャラクターデザインを担当し、世界的な人気を博しました。この作品は、彼の代表作の一つとして現在も高い評価を得ています。その後も、彼はトップクラスのクリエイティブディレクターとして、アメリカアニメーション界を牽引する存在として活躍し続けました。

高本厳夫は、困難な時代を経験しながらも、類まれな才能と情熱でアニメーション界に多大な貢献をしました。彼の作品は、世代を超えて人々を魅了し続けています。2007年1月、心不全のため81歳でこの世を去りましたが、その功績は、アニメーションの歴史に永遠に刻み込まれることでしょう。彼の生涯は、才能と努力、そして困難を乗り越える人間の強さを私たちに教えてくれます。日系アメリカ人としてのアイデンティティ、そしてアニメーターとしての誇りを持ち続けた高本厳夫の足跡は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けることでしょう。

もう一度検索