イワレンゲ

イワレンゲの詳細

概要

イワレンゲ（学名：Orostachys malacophylla var. iwarenge）は、独特な外見を持つ多年草であり、ベンケイソウ科イワレンゲ属に属しています。この植物は、特徴として一稔性であることが挙げられ、花を咲かせた後に枯れてしまいます。種の繁殖は、花後に葉の脇から新しい芽や横走りの枝を出すことで行われます。基本種には、ゲンカイイワレンゲ（O. malacophylla var. malacophylla）が存在します。

特徴

イワレンゲは地下に根茎を持たず、ロゼット状の葉を形成します。そのロゼットの直径は約5〜10cmで、葉の表面には粉白色が見られ、全体的に白緑色になります。葉は肉厚で扁平、形状は倒披針形で、長さは約4〜6cm、幅は2〜2.5cmです。先端は鈍頭から円頭の形をしており、葉が重なり合っている様子がハスの花を思わせます。イワレンゲの葉先には、同じ属のツメレンゲ（O. japonica）に見られる短針状の突起は存在しません。

花の特徴

花期は9から11月にかけて見られ、ロゼットの中央から10〜20cmの高さの円錐状の花茎が立ち上がります。また、この花茎には多くの花が密集して咲きます。花序には、葉に似た苞がついており、花柄の根元には2つの細い小苞があります。

花の萼は薄緑色で、5つの萼裂片が基部で合わさり、狭卵形をしています。先端部分は鈍頭または円頭です。花弁は白色で、5つあり、萼片の2倍の長さで狭倒披針形ではきれいに開きます。この花弁の先も円頭または鋭頭です。

雄蕊は2つの輪に10個存在し、花糸は花弁よりやや長く、葯は黄色で、紅色には変化しません。雌蕊は5個で直立し、花柱は短く、基部は柄状になっています。雌蕊の裏側には蜜腺があり、淡黄色で長円形をしています。最後に、果実もまた5つの袋果からなり、長楕円形で両端が尖っています。

生息環境

イワレンゲは日本に特有の変種で、本州の関東地方から西部、さらには九州まで分布しています。岩が露出している海岸や建物の屋根など、土壌が乏しい環境でも自生が可能であり、乾燥に強い性質を持っています。ただし、現在ではこの植物を自然界で見かけることが少なくなっています。

この植物は、長い間観葉植物として親しまれ、明治時代には数多くの園芸品種が登場しました。

名前の由来

イワレンゲという名前は、岩場に生育することを示す「岩」と、その葉が重なり合った形状がハスの花に似ていることから「蓮華」を由来としています。種小名の「malacophylla」は「柔らかい葉」という意味が込められており、変種名の「iwarenge」は和名から取られています。

保全状況

この種は、絶滅危惧II類（VU）として環境省から評価されています。かつてはより深刻な絶滅危惧IB類（EN）に指定されていましたが、2017年の評価で状況が少し改善されたものの、依然として絶滅の危険がある植物です。

また、茨城県ひたちなか市の指定天然記念物にも選ばれていることから、この植物の保護が重要視されています。

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