インガ・アビトワ

インガ・アビトワ

インガ・エドゥアルドヴナ・アビトワ（Инга Эдуардовна Абитова、Inga Eduardovna Abitova）は、1982年3月6日に誕生した、ロシア出身の元陸上競技選手です。彼女は主に10000メートル走およびマラソンといった長距離種目を専門とし、国際舞台で活躍しました。ロシアのサマラ州に位置するノヴォクイビシェフスクの出身です。

アビトワ選手の競技人生は、1999年の世界ユース陸上競技選手権の3000メートル走で11位となったことから始まります。シニアでの国際大会で初めて頭角を現したのは、2005年のベオグラードマラソンでした。このレースで彼女は2時間38分30秒のタイムを記録し、見事優勝を果たしました。

彼女のキャリアにおける最も輝かしい瞬間の一つは、2006年にスウェーデンのイェーテボリで開催されたヨーロッパ陸上競技選手権でしょう。女子10000メートル走において、アビトワ選手は自己ベスト記録となる30分31秒42をマークし、この種目のヨーロッパチャンピオンに輝きました。この記録は、当時のヨーロッパ歴代パフォーマンスリストで7位にランクされる素晴らしいものでした。また、国内では2007年と2008年のロシア選手権女子10000mで連覇を達成しています。

世界選手権の舞台では、2007年に大阪で開催された大会の10000メートル走に出場し、12位という成績を収めました。そして、ロシア代表として出場した2008年の北京オリンピックでは、女子10000メートル走で30分37秒33を記録し、6位に入賞を果たしました。これは、オリンピックという最高峰の舞台での顕著な成績と言えます。

トラック競技だけでなく、ロードレースでも強さを見せました。2009年10月には、イギリスのバーミンガムで開催された世界ハーフマラソン選手権に出場し、1時間09分53秒のタイムで9位となりました。さらに、その翌月の11月15日には、日本で初めて開催された横浜国際女子マラソンに出場し、初代優勝者となりました。記録は2時間27分18秒です。周回コースで行われたこのレースでは、30キロ地点付近から後続を引き離し、日本の有力選手である嶋原清子らを抑えてゴールテープを切りました。

マラソンでのさらなる活躍は続き、2010年4月25日に行われたロンドンマラソンでは、強豪リリア・ショブホワに次ぐ2位に入りました。この時の記録は2時間22分19秒で、これが彼女のマラソンにおける自己ベスト記録となりました。アビトワ選手は、キャリアを通じて「Dynamo」に所属し、コーチであるヴィクトル・プチロフ（Viktor Putilova）氏の指導を受けていました。

しかし、彼女の競技キャリアは予期せぬ形で幕を閉じます。2012年11月、国際陸上競技連盟（IAAF）によりドーピング違反が発表され、2年間の出場停止処分が科されました。この処分により、彼女の国際大会での活動は停止され、事実上、トップレベルでの競技生活を終えることとなりました。

自己ベスト記録

3000m - 9分02秒88（2006年）
5000m - 15分15秒05（2006年）
10000m - 30分31秒42（2006年）
ハーフマラソン - 1時間09分53秒（2009年）
* マラソン - 2時間22分19秒（2010年）

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