嶋原清子

嶋原清子（しまはら きよこ）

日本の女子陸上競技において、長距離走およびマラソンで活躍した元選手です。1976年12月22日に山口県大島郡周防大島町で生まれました。高水高等学校を経て国士舘大学を卒業。身長154cm、体重43kgと小柄ながら、粘り強い走りが持ち味でした。

大学卒業後、1999年4月に資生堂ランニングクラブへ入部し、約8年間所属。その後、2007年4月1日からはセカンドウィンドAC（SWAC）に移籍しました。

私生活では、2010年5月に当時現役陸上選手で佐久長聖高等学校陸上部のコーチ（後に監督）を務めていた高見澤勝氏と結婚。結婚後も「ミセスランナー」として競技を続けました。2012年1月29日の大阪国際女子マラソンを最後に現役生活にピリオドを打ちました。引退後の2012年12月6日には第一子となる男の子を出産しています。

現役引退後は主にSWACのスタッフとして活動。2013年4月からはSWACのリーダーを務め、後進の指導にあたっています。

競技キャリアの軌跡

嶋原選手のキャリアにおいて特筆されるのは、後半に強さを見せるレーススタイルと、高温多湿といったタフな気象条件下での適応力です。キャリア初期には、自己記録を更新しながら主要マラソンで上位に進出するようになります。

東京国際女子マラソンでの粘り（2003, 2004年）
2003年大会は季節外れの高温という悪条件。有力選手が失速・途中棄権する中、終始安定したペースで走り抜き3位入賞を果たしました。翌2004年大会では、序盤は先頭集団に無理せずマイペースを維持。レース後半の35km以降に徐々にペースを上げ、先行していた選手を次々と抜き去る展開を見せました。優勝したブルーナ・ジェノベーゼにはわずか9秒差で届きませんでしたが、強い印象を残す2位となりました。

初の主要国際大会メダル（2006年 ドーハアジア競技大会）
2006年12月のアジア競技大会女子マラソンでは、序盤で飛び出した中国の周春秀にはつかず、同じ日本代表の小幡佳代子選手と並走。レース後半にペースの落ちた周選手を追い上げるとともに、小幡選手との激しい2位争いを展開。残り1kmを切ってからスパートをかけ、見事銀メダルを獲得しました。このレースでは、給水所で自分のスペシャルドリンクを取った後、小幡選手にもドリンクを渡すというスポーツマンシップ溢れる場面も見られました。この活躍が高く評価され、翌年の世界陸上大阪大会代表に選出されました。

世界陸上大阪での入賞（2007年）
地元開催となった2007年9月の世界陸上大阪大会は、スタートから高温多湿という厳しい条件でした。暑さに強い嶋原選手にとって有利な状況とも言われ、期待通りに粘り強い走りを見せ、6位入賞の成績を残しました。

海外マラソンでの活躍
国際大会でも強さを見せ、2006年ボストンマラソンでは5位、2008年シカゴマラソンでは25度を超える高温下で北京五輪金メダリストに先着し3位に入りました。

ホノルルマラソンでの快挙（2008年）
2008年12月、海外メジャーマラソンでの初優勝をホノルルマラソンで達成。日本人としては2003年以来5年ぶりとなる優勝でした。このレースでは、同じSWAC所属の吉田香織選手も2位に入り、日本人選手初のワンツーフィニッシュという快挙となりました。

国内主要マラソン制覇と自己ベスト更新（2009年 北海道マラソン）
2009年8月の北海道マラソンでは、序盤からSWACのチームメート尾崎朱美選手と先頭争い。12km過ぎからは独走状態となり、大会記録を36秒更新するタイムで優勝。自身にとっても4年前の同大会で出した自己ベストを1分以上更新する2時間25分10秒を記録しました。このレースでも2位に尾崎選手が入り、前年のホノルルに続きSWACによるワンツーフィニッシュとなりました。

横浜国際女子マラソン初代女王に（2009年 → 2013年）
2009年11月、記念すべき第1回大会の横浜国際女子マラソンに出場。当初は2着でフィニッシュしましたが、4年後の2013年11月、1着だった選手のドーピング違反による失格が確定したため、嶋原選手が繰り上がりで優勝。初代女王のタイトルを獲得しました。この成績が評価され、アジア競技大会代表にも連続で選出されました。

現役最後のレースとその後
2012年1月の大阪国際女子マラソンを引退レースとすることを事前に表明。このレースでも、序盤はハイペースな先頭集団にはつかずマイペースを貫き、後半に追い上げる嶋原選手らしい走りを見せました。レース中には先行する福士加代子選手の肩を叩き「ここからだよ」と声をかける場面もありました。結果は当初5位でしたが、後に上位選手のドーピング違反により4位に繰り上がっています。引退後、出産を経て「ママさんランナー」として復帰。2013年10月の大阪マラソンでは3位に入り、健在ぶりを示しました。

嶋原清子選手は、その豊富なフルマラソン経験と、後半に強い独特のレース運びで、多くのマラソンファンに記憶されています。特に暑さに苦しむ選手が多い中、夏場や気温の高いレースで好成績を残したことは、その適応能力の高さを物語っています。

引退後は指導者として、自身の経験を次世代のランナーに伝える活動を続けています。

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