イングランドの国旗

イングランドの国旗：セント・ジョージ・クロス

イングランドの国旗として知られている「セント・ジョージ・クロス」は、白い地に赤い十字が描かれたシンプルで力強いデザインです。この国旗は、イギリス全体の国旗であるユニオン・フラッグの一部分でもあり、特にイングランドを象徴する旗として広く認識されています。FIFAの会員としてのイングランドは、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと共に個別に国旗を持っており、国際サッカーの大会でもこのセント・ジョージ・クロスが掲げられています。

国旗のデザインにおいては、十字の幅は旗の高さの5分の1に設定されており、また縦横比は3対5となっています。ユニオン・フラッグ自体の縦横比は1対2です。このため、イングランドの地方都市では、多くの場合宗教的な場面や重要な場面で、このセント・ジョージ・クロスが掲げられ、イングランド人のアイデンティティとしての役割を果たしています。

歴史的背景

セント・ジョージ・クロスの起源を探ると、1188年にさかのぼります。この年、イングランド王ヘンリー2世やフランス王フィリップ・オーギュストらが、各国が使用する十字旗の色を統一する合意をしました。その結果、イングランドは赤地に白、フランスは白地に赤、そしてフランドル伯は白地に緑の十字を採用することが決まったのです。この合意後、13世紀から14世紀にかけて、イングランドとフランスの十字の配置が逆転し、白地に赤のデザインが広がりました。

現存する最古の「セント・ジョージ・クロス」の使用が確認できたのは、1249年に遡りますが、旗としての形式が整ったのは1277年です。この後、1375年にフランスが対抗策として、赤地に白十字の「旧イングランド王旗」に切り替えた事例もあります。このように、一つの旗が国同士の関係に影響を及ぼす様子は興味深いものです。

セント・ジョージは、龍退治の伝説で知られる聖人であり、イングランドにおいて重要な象徴となっています。このイコンは、中世のイングランドでは単独の旗としてだけでなく、他の聖人を象徴する旗も存在しました。セント・ジョージがイングランドのガーター勲章の守護聖人に認定されたのは1348年で、この時期から彼の象徴性が強められたと言われています。

現代の使われ方

現代においても、セント・ジョージ・クロスはイングランド人の誇りとして高く評価されており、スポーツイベントや国の記念日など、多くの場面で使用されます。また、パブやショップにおいても、この旗を見ることができ、国民のアイデンティティや文化の象徴としての役割を担っています。国旗としての機能だけでなく、イングランド人の歴史や伝統を受け継ぐ重要なシンボルでもあるのです。

このように、「セント・ジョージ・クロス」はイングランドの国旗以上の意味を持っています。歴史に根ざしたシンボルは、今なお国民の心に深く刻まれており、今日のイギリス社会においてもその存在感を放っています。

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