ガーター勲章

ガーター勲章について

ガーター勲章（Order of the Garter）は、イギリスで最も権威のある勲章であり、1348年にエドワード3世によって創設されました。正式な名称は「最も高貴なガーター勲章」（Most Noble Order of the Garter）です。この勲章は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国の栄典の中でも最高位にあたりますが、ヴィクトリア十字章やジョージ・クロスと比較すると、全体的な地位はこれらの勲章よりも下に位置づけられています。

ガーター勲章の特徴の一つは、騎士団の一員を示す装飾が施された勲章であり、男性は「Knight of the Garter」、女性は「Lady of the Garter」と呼ばれます。騎士の称号はそれぞれ「KG」、「LG」として表記されており、多くの人々にとって憧れの存在であります。また、ガーターのモットーは「悪意を抱く者に災いあれ」（Honi soit qui mal y pense）であり、これは勲章にも刻印されています。

勲章の構成

実際にガーター勲章が授与される際の装飾品は、以下の4つの要素から構成されています。
1. ガーター：ブルーの布製で、金の刺繍が施されたガーター。
2. 黄金の頸飾：ランカスター家の赤バラとヨーク家の白バラを組み合わせたテューダー・ローズがデザインされた頸飾。
3. 大綬章：名誉を示す大きなリボン。
4. 星章：与えられた騎士の栄誉を表す装飾。

特別な場合には、カメオにダイヤモンドを散りばめた大綬章の正章や、ルビー星章も存在します。ガーターは男性団員が左ひざに、女性団員が左腕に装着します。

ガーターセレモニー

授与式であるガーターセレモニーは毎年6月にウィンザー城で行われ、新しく叙任される勲爵士が紹介されます。この際には既存の勲爵士が立ち会い、君主から正式に勲章が授与されます。セレモニーでは、まず新勲爵士が君主の前に進み出て、ガーターを装着してもらった後に大綬章や星章が授与され、最終的にガーターローブを身につけます。

勲爵士のバナーと記念プレート

聖ジョージ礼拝堂には、ガーター勲爵士のバナーやヘルメット、名前が刻まれたプレートが飾られています。勲爵士が亡くなると、翌年の聖ジョージの日に追悼式が行われ、プレート以外は取り外されます。

歴史的背景

ガーター騎士団は、エドワード3世がフランスとの百年戦争に備えて結成したものであり、設立のエピソードには、舞踏会で伯爵夫人の靴下止めが落ちる場面が伝説として語られています。この騎士団は、現在に至るまで続くイングランドの重要な勲章として、長い歴史を有しています。特に、創設時から国王と皇太子を含む26名の騎士団員が選定されています。

ガーター勲章の授与対象は、原則としてキリスト教徒のヨーロッパの君主であり、例外的に友好関係にある国の君主や共和制国家の元首にも授与されることがあります。日本の天皇は、1906年に初めてガーター勲章を授与された歴史があります。

現代の勲爵士と役職

現在では、ガーター騎士団には特定の役職が設けられており、英国内の君主や騎士団員によって伝承されています。特に、政治家による乱用を防ぐため、1946年以降は君主自らが授与を行う事が慣例とされているのです。

このように、ガーター勲章はその歴史と伝統によって、イギリスの名誉ある勲章としての地位を維持し続けています。

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