イングリッシュ・マスティフ

イングリッシュ・マスティフ

イングリッシュ・マスティフは、その起源をイギリスに持つ犬種であり、主に警備用として使われています。一般的には「マスティフ」として知られるこの犬種は、歴史的な背景を持ちながらも、今日では愛されるペットやショードッグとして親しまれています。

歴史

イングリッシュ・マスティフの祖先は紀元前1000年頃にフェニキア人によってイギリスへ持ち込まれたローマン・モロサスです。当初、この犬種は戦闘用犬として利用されていましたが、その期間は非常に短いものでした。古代ローマのコロシアムでの闘犬としての利用があったものの、戦闘行為は急速に止められ、次第に警備用としての役割が強まります。

歴史の中で、イングリッシュ・マスティフは2度の世界大戦の影響を受けて急激に頭数が減少しました。その結果、品種の純粋性が危機にさらされました。しかし、第二次世界大戦後にブルマスティフなどの他の犬種との交配を通じて頭数が回復し、純血種としてのイングリッシュ・マスティフの姿を取り戻しました。現在では、国際畜産連盟（FCI）にも公式に認定されており、世界中で飼育されています。日本でも一定数の個体が存在し、毎年の登録も行われています。

特徴

この犬種の特徴的な部分は、その逞しい体格です。イングリッシュ・マスティフは大きな頭部を持ち、がっしりとした筋肉質の身体を誇ります。マズルは短く太く、垂れた耳と太い尾が特徴です。コートはスムースな質感で、色はフォーン、ブリンドル、アプリコットなどのバリエーションがあります。顔には典型的なブラックマスクがあり、皮膚には若干のたるみと深いしわがあります。これにより、顔全体が憂いを帯びた表情をしていることも特徴の一つです。

体高は雄で75cm以上、雌で68cm以上になり、体重は男女ともに79〜86kgに達する大型犬です。性格は非常に忠実であり、家族に対して甘えたがりますが、見知らぬ人に対しては警戒を示し、無愛想になる傾向があります。その他の犬に対しては同情的で優しい一面も持っています。主に飼い主を守るため、危険が迫った際には果敢に立ち向かう勇気を持っています。

イングリッシュ・マスティフは、適度な運動が必要ですが、その活発度は普通です。それでもその力強さを考慮し、十分な訓練が求められます。また、股関節形成不全や悪性新生物、鼓張症などの健康問題が発生しやすいため、定期的な健康チェックが重要になります。

イングリッシュ・マスティフは、その強靭な体と優れた性格で家庭において重要な役割を担うことができる犬種です。飼い主との信頼関係を築きながら、共に豊かな生活を送ることができるでしょう。

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