マスティフ

マスティフ：屈強な番犬から絶滅危惧種、そして兵器の呼称へ

マスティフは、その名の通り、力強く堂々とした体格を持つ犬種群です。古くから番犬や闘犬として人々に飼育され、その歴史は深く、多岐にわたります。

マスティフとは

マスティフは、モロシアン・タイプ（モロサス・タイプ）に分類される犬種で、その特徴は、なんと言ってもその巨大で筋肉質な体躯です。並外れた力強さを持ち、古来より番犬や闘犬として活躍してきました。特に闘犬として用いられていた雄犬は、攻撃的な性格を持つ個体も存在したため、飼育には厳格な管理としつけが不可欠でした。近年では、ペットとしての改良が進み、穏やかな性格の個体も増えていますが、依然として注意が必要です。

しかし、その一方で、しっかりとした管理がなされていないマスティフによる事故も発生しており、国によっては飼育が規制されている場合もあります。現在では、闘犬として飼育されることはほとんどなく、ペットやショードッグ、番犬としての役割が主流となっています。

寿命は一般的に6〜10年とされています。

イギリスでの現状

かつてイギリスでは人気犬種でしたが、近年は絶滅の危機に瀕しています。2016年にイギリスのケネルクラブに登録された新生子はわずか102匹であり、英国原産でありながら、その存続が危ぶまれています。

マスティフの種類

マスティフという名前を持つ犬種は、世界中に数多く存在します。以下に代表的な種類を紹介します。

アフガン・マスティフ：アフガニスタン原産の原始的なマスティフで、部族間の紛争解決のために闘犬として用いられていました。
アルパイン・マスティフ：セント・バーナードの原種であり、現在でも別名として用いられることがあります。
イングリッシュ・マスティフ：単にマスティフと呼ばれることも多く、最もポピュラーな種類です。
ジャパニーズ・マスティフ：土佐[[闘犬]]の別名です。
ジャーマン・マスティフ：グレート・デーンの別名です。
スパニッシュ・マスティフ：スペイン原産の家畜護身犬種で、短毛で屈強な体格が特徴です。
チベタン・マスティフ：チベット高原原産で、多くのモロサス犬種の祖先とされる超大型犬です。
ナポリタン・マスティフ：イタリア原産の古いマスティフで、たるんだ皮膚が特徴的です。
ピレニアン・マスティフ：スペイン原産の家畜護身犬種で、スパニッシュ・マスティフの近縁種で長毛が特徴です。近年、希少化が進んでいます。
ブラジリアン・マスティフ：ブラジリアン・ガード・ドッグの別名です。
ブルマスティフ：イギリス産のオールド・イングリッシュ・ブルドッグとイングリッシュ・マスティフの交配によって生まれた犬種です。
ベルジアン・マスティフ：ベルギー原産で、警備犬や荷引き犬として活躍しましたが、現在は絶滅寸前です。
ボルドー・マスティフ：フランス原産で、フレンチ・マスティフやドーグ・ド・ボルドーとも呼ばれます。

マスティフの祖先

古代ギリシアでは、モロッサス（別名：Epirus mastiff）と呼ばれる犬種が闘犬や軍用犬として活躍しており、マスティフの祖先と考えられています。

兵器の呼称としてのマスティフ

マスティフの犬種名に由来し、兵器の呼称として使用される例もあります。

マスティフ PPV：イギリス軍で運用されているアメリカ製のMRAP（対地雷装甲車）"クーガー"の派生車種の呼称です。
* タディラン マスティフ：イスラエル軍が1970年代から2000年代にかけて運用していた無人航空機です。

まとめ

マスティフは、その力強い外見と歴史から、人々に畏敬の念を抱かせる犬種です。しかし、近年は絶滅の危機に瀕しており、保護の必要性が高まっています。また、兵器の呼称としても用いられるなど、その名前は様々な分野で影響を与えています。マスティフの歴史と現状を知ることは、犬と人間の関係について深く考えるきっかけになるかもしれません。

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