イングルウッドゴルフクラブ

イングルウッドゴルフクラブ：栄光と終焉

イングルウッドゴルフクラブ（Englewood Golf Club）は、ニューヨークシティのすぐ西、ニュージャージー州のイングルウッドとレオニアにまたがる地域に存在した、歴史ある会員制ゴルフコースでした。1896年に9ホールのコースとしてその歴史をスタートさせ、わずか4年後の1900年には18ホールへと拡張され、その規模を拡大しました。

全米オープン開催の輝かしい歴史

20世紀初頭、イングルウッドゴルフクラブはアメリカゴルフ界において重要な存在感を示しました。1906年には全米アマチュア選手権、そして1909年にはゴルフ界最高峰の大会である全米オープンが開催され、数々の名勝負が繰り広げられました。当時のゴルフファンにとっては、憧れの舞台であり、記憶に残る場所でした。

高速道路建設による分断と閉鎖

しかし、その輝かしい歴史は、1960年代に予期せぬ形で終焉を迎えることになります。ジョージ・ワシントン・ブリッジへの取付ランプが、なんとゴルフコースの敷地中央を貫通する形で建設されることになったのです。さらに、イングルウッドとレオニアの境界線に沿ってニュージャージーターンパイクが建設され、コースは完全に二分されてしまいました。

クラブハウスは敷地の北東端に位置していましたが、コースが分断された後もプレー自体は続けられました。しかし、コースの維持管理は困難を極め、クラブの財政状況は悪化の一途をたどります。そして、1976年、イングルウッドゴルフクラブはその長い歴史に幕を下ろすことになりました。

跡地の変貌

閉鎖後、コースの跡地は再開発され、その姿は大きく変貌しました。コースの北東側、イングルウッド側にはクロスクリークポイントというコンドミニアムが建設され、近代的な住宅地へと生まれ変わりました。一方、レオニア側には一戸建て住宅が建てられ、その中には「ゴルフコースドライブ」と名付けられたストリートが存在し、かつてそこがゴルフコースであったことを静かに物語っています。

失われたリンクスへの追憶

イングルウッドゴルフクラブの歴史は、ダニエル・ウェクスラー (Daniel Wexler) の著書『The Missing Links: America's Greatest Lost Golf Courses & Holes』に詳細に記録されています。この書籍を通じて、かつての名門コースの姿を垣間見ることができます。

イングルウッドゴルフクラブは、時代の変化と共に姿を消してしまいましたが、その名はゴルフ史に深く刻まれています。かつてこの地で繰り広げられた数々のドラマは、今もなお語り継がれ、多くのゴルフファンに記憶されています。

もう一度検索