イングヴァリ1世

イングヴァリ1世 (イングヴァリ・ヤロスラヴィチ) の生涯

イングヴァリ1世（1152年頃 - 1220年?）は、ルーツク公、キエフ大公、ヴォルィーニ公を歴任した、中世ルーシの重要な人物です。父はヤロスラフ2世、母はボヘミア公ヴラディスラフ2世の娘という、由緒ある家系に生まれました。

波乱の時代を生きる

13世紀初頭のルーシは、内紛と外敵の侵入が絶えない不安定な時代でした。イングヴァリは、そのような状況下で、自身の領土を守り、勢力を拡大するために、様々な政治的駆け引きを行いました。

1201年、イングヴァリはキエフ大公の座に就きます。しかし、その地位は長くは続きませんでした。1203年、リューリクがチェルニゴフ公国とポロヴェツ族の支援を得てキエフを奪還。イングヴァリはキエフから逃亡せざるを得なくなりました。

1209年、イングヴァリはヴォルィーニ公となります。しかし、これもまた安定した地位ではありませんでした。1210年には、ボヤーレたちの反対により、甥のアレクサンドルに公の座を譲ることになります。

1214年、リューリクの死後、フセヴォロドがキエフ大公となり、モノマフ一門の所領を没収しようとします。イングヴァリはムスチスラフ・ムスチスラヴィチの軍に加わり、キエフへ向かいます。一時的にキエフ大公の座に返り咲きますが、最終的にはルーツクへと戻りました。

死とその後

イングヴァリの死後、ルーツク公の地位は弟のムスチスラフが継承しました。

家族

妻の名は不明ですが、多くの子に恵まれました。

イジャスラフ - ドロゴブージ公
スヴャトスラフ（諸説あり） - シュムスク公
ヤロスラフ - ルーツク公、メドズィボジュ公
ウラジーミル - ルーツク公
グレミスラヴァ（? - 1258年） - クラクフ公レシェク1世と結婚

娘のグレミスラヴァは、ポーランドのクラクフ公レシェク1世と結婚しており、イングヴァリの血筋は、ポーランド王家にも繋がっています。

評価

イングヴァリ1世は、激動の時代を生き抜いたルーシの公として、その政治手腕と軍事力は高く評価されています。彼の生涯は、中世ルーシの歴史を理解する上で、重要な手がかりとなります。

参考資料

Войтович Л. Князівські династії Cxiдної Європи

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