インターネットドラフトとは？意味をやさしく解説

インターネットドラフト（I-D）について

インターネットドラフト（Internet Draft、I-D）とは、インターネット技術の標準化団体であるIETF（Internet Engineering Task Force）が公開する一連の作業文書を指します。これらの文書は、インターネット技術に関する提案や仕様を議論・検討するためのものであり、多くの場合、最終的な標準仕様であるRFC（Request for Comments）の草稿として作成されます。しかし、インターネットドラフトには、必ずしもRFCとなることを意図していない、進行中の作業に関する報告書や技術的な検討資料なども含まれます。

インターネットドラフトの扱い

インターネットドラフトは、まだ標準化プロセスが完了していない、開発中の文書です。そのため、参考文献として利用することは適切ではないとされています。もし、インターネットドラフトを引用する必要がある場合は、その文書が「work in progress（作業中）」であることを明確に記述する必要があります。これは、読者がその文書の性質を理解し、情報が変更される可能性があることを認識できるようにするためです。

インターネットドラフトの有効期間と削除

インターネットドラフトには、有効期間が定められており、その期間は通常6ヶ月以下です。また、予告なしに削除されたり、内容が置換されたりすることがあります。IESG（Internet Engineering Steering Group）またはRFC編集者が評価中のものを除き、有効期間を過ぎたインターネットドラフトは、IETFのリポジトリから削除されます。したがって、インターネットドラフトを参照する際は、その文書が最新版であるか、削除されていないかを確認する必要があります。

ミラーサイトの存在

IETFのインターネットドラフト・リポジトリは、世界中に多数のミラーサイトが存在します。これらのミラーサイトでは、IETFのリポジトリからは既に削除されたインターネットドラフトも参照できる場合があります。ただし、ミラーサイトのデータは必ずしも最新であるとは限らないため、注意が必要です。

インターネットドラフトの命名規則

インターネットドラフトは、作成主体によって異なる命名規則に従います。以下に主な命名規則を示します。

IETFワーキンググループが作成する場合

draft-ietf---.txt

ここで、``はワーキンググループの略称、``は文書の名称、``はバージョン番号を表します。

IRTFリサーチグループが作成する場合

draft-irtf---.txt

ここで、``はリサーチグループの略称、``は文書の名称、``はバージョン番号を表します。

個人が作成する場合

draft---.txt

ここで、``は作成者の識別子、``は文書の名称、``はバージョン番号を表します。

その他のIETF関連組織が作成する場合

draft---.txt

ここで、``は組織の略称、``は文書の名称、``はシーケンス番号を表します。

バージョン番号は、初版が`00`で表され、改訂版が出るごとに`01`、`02`と番号が増加します。

まとめ

インターネットドラフトは、IETFにおける技術標準化プロセスの重要な一部です。しかし、その性質上、常に変更や削除の可能性があることを理解しておく必要があります。インターネットドラフトを参照する際は、最新の情報源を確認し、必要に応じてミラーサイトも活用すると良いでしょう。

外部リンク

インターネットドラフト
インターネットドラフト・データベース・インタフェース
インターネットドラフト・トラッカー
I-D ガイドライン
IDnits Tool

非公式ミラーサイト

http://www.watersprings.org/pub/id/ - 有効期限切れのインターネットドラフト群

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