Request for Comments

Request for Comments (RFC)とは

Request for Comments（リクエスト フォー コメンツ、略称：RFC）は、インターネット技術の標準化団体であるIETF（Internet Engineering Task Force）が発行する技術仕様に関する公式文書です。RFCは、インターネット技術に関する様々な情報を広く共有し、議論を促進するために利用されています。

RFCは、通信プロトコル、ファイルフォーマット、ネットワークアーキテクチャなど、インターネット技術に関する多岐にわたるテーマを扱います。これらの技術仕様は、インターネットを構成する上で重要な役割を果たしており、RFCはそれらを標準化するための基礎となる文書です。

RFCの歴史

RFCの歴史は、1969年にARPANETプロジェクトで始まりました。当初は、技術仕様を広く公開し、意見を募集することでより良いものにしていくという考え方で、議論を促すために「Request for Comments」という名前が付けられました。初期のRFCはタイプライターで作成され、紙媒体で配布されていましたが、ARPANETの発展とともに、ネットワーク上で配布されるようになりました。

RFC 1は、1969年4月7日にスティーブ・クロッカーによって執筆された「ホスト・ソフトウェア」で、RFC 3では、RFCはARPAのネットワークワーキンググループに帰属すると定義されました。

その後、ARPANETプロジェクトとは別にインターネットプロジェクトが発足し、RFCのコンセプトを模倣したインターネット実験ノート（IEN）などの文書シリーズが発行されました。1983年には、ARPANETがTCP/IPに移行するのに伴い、これらの類似文書シリーズはRFCに統合されました。

現在では、IETFやIAB（Internet Architecture Board）など、インターネット技術に関する様々な組織が公式発表の場としてRFCを利用しています。

RFCの役割

RFCは、インターネット技術の標準化プロセスにおいて重要な役割を担っています。RFCは、技術仕様を提案し、議論し、合意形成を図るためのプラットフォームを提供します。RFCは、標準化プロセスにおける各段階でのステータスが定義されており、技術仕様の成熟度を示す指標としても利用されています。

RFCの構造

RFCは、一般的に英語で記述されており、公式な翻訳版は存在しません。RFCは、特定のフォーマットに従って記述する必要があり、一貫性を保ち理解しやすいように共通の用語セットが使用されています。また、RFCは固定幅のテキスト形式で作成されていましたが、2019年8月以降は、リフロー可能な形式に変更され、様々なデバイスで最適に表示できるようになりました。

RFCの編集プロセス

RFCの編集プロセスは、IETFによって管理されており、RFC編集者がRFCの公開を担当します。RFCは、一度公開されると変更や取り消しは行われず、誤字などの修正は正誤表として別途公開されます。大きな修正が必要な場合は、新しいRFCとして改訂版が発行されます。

RFCのステータス

全てのRFCがインターネット標準というわけではなく、各RFCにはステータスが定められています。ステータスには、標準化過程、情報、実験的、現状で最良の慣行、歴史的などがあります。標準化過程は、さらに標準への提唱とインターネット標準に分けられます。

標準化過程

標準への提唱 (Proposed Standard, PS): 標準化の初期段階にあるRFC。
インターネット標準 (Internet Standard, STD): 標準化が完了したRFC。

情報

技術的な情報を共有するRFC。エイプリルフールのジョークRFCなども含まれます。

実験的

実験的な技術や研究成果を公開するRFC。

現状で最良の慣行

インターネットで広く利用されている実務上のルールをまとめたRFC。

歴史的

標準化過程で破棄されたRFCや、標準化以前に公開されたRFC。

RFCのサブシリーズ

RFCには、BCP（Best Current Practice）、STD（Standard）、FYI（For Your Information）などのサブシリーズがあります。

BCPサブシリーズ

現状で最良の慣行に関するRFCで構成されます。

STDサブシリーズ

インターネット標準として認められたRFCで構成されます。

FYIサブシリーズ

情報提供を目的としたRFCで構成されていましたが、現在は廃止されています。

RFCの発行の流れ

RFCは、IETF、IRTF、IAB、独立提出、および声明の5つの発行の流れがあります。

IETF: 標準化過程および現状で最良の慣行に関するRFCを発行。
IAB: ポリシーやアーキテクチャに関する情報文書を発行。
IRTF: 情報または実験的な研究成果を発行。
独立提出: IETFの作業と競合しない情報または実験的な内容を発行。
声明: RFCシリーズ全体の編集ポリシーの変更に使用。

RFCの著作権

RFCの著作権は、一般的に著者に帰属します。IETFトラストが一部のRFCの著作権を保有しており、その他すべてのRFCについては、著者がRFCの複製を許可するライセンスを付与しています。

RFCの取得方法

RFCは、インターネット上で誰でも閲覧、取得することができます。RFCは、以下のURLからアクセスできます。

https://www.rfc-editor.org/info/rfc番号 (例: RFC 1149)
https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc番号 (例: RFC 1149)

RFCの例

以下に、RFCの例をいくつか示します。

RFC 1149: 鳥類キャリアによるIP
RFC 2324: Hyper Text Coffee Pot Control Protocol
RFC 7168: Hyper Text Coffee Pot Control Protocol for Tea Efflux Appliances

RFCの関連情報

RFC Editor
IETF
* RFCの日本語訳リスト


RFCは、インターネット技術の発展において重要な役割を果たしており、今後もその重要性は変わらないと考えられます。

もう一度検索