インターネット標準

インターネット標準とは、インターネット技術の基盤となるオープン標準であり、Internet Engineering Task Force (IETF) によって厳格な査読を経て承認されます。この標準は、技術的な相互運用性を確保し、インターネット全体の発展を支える重要な役割を果たしています。

標準化のプロセス

インターネット標準は、まずインターネットドラフトとして提出されます。このドラフトは、複数回の改訂を経てRequest for Comments (RFC) として公表されます。RFCは、当初は覚書扱いですが、その後、以下の2つの段階を経てインターネット標準となります。

1. 標準化への提唱 (Proposed Standard):
この段階では、技術が安定しており、既存の問題に対する解決策を提供する必要があります。
広く公開され、コミュニティからの査読を受け、その価値が認められる必要があります。
査読コメントを反映させる必要があり、大幅な変更を伴うこともあります。
実装や実験は必須ではありません。
2. 標準 (Standard):
複数の実装と十分な運用実績を積んだ仕様が「インターネット標準」となります。
技術的な成熟度が高く、インターネットコミュニティにとって有益であると認められたものが対象です。

これらの段階は、「インターネット標準化過程 (Standard Track)」と総称され、RFC 2026およびRFC 6410で定義されています。以前は、「標準化への草稿 (Draft Standard)」という段階が存在しましたが、RFC 6410により廃止され、現在の2段階となりました。

RFCについて

すべてのRFCが標準化過程にあるわけではありません。標準化に関係しないRFCについては、Request for Commentsを参照してください。

インターネット標準の役割

インターネット標準は、プロトコル、メッセージ形式、スキーマ、言語などを定義することで、インターネットにおけるシステム間の相互運用性を確保します。最も基本的な標準は、インターネットプロトコルを定義するものです。

STD シリーズ

全てのインターネット標準には、STDシリーズの番号が付与されます。この番号は、一つまたは複数のRFCに対応していることがあります。例えば、STD 8はtelnetプロトコルを定義しており、RFC 854とRFC 855が対応しています。

初期のSTDシリーズの文書であるSTD 1には、シリーズに含まれる全文書と提案中の標準候補がリストアップされていました。しかし、RFC文書としての更新が滞り、オンラインで公開されたリストが好まれるようになったため、2013年12月にRFC 7100でRFC文書としての公開は廃止されました。

標準化過程の変遷

かつて存在した「標準化への草稿」は、相互運用可能な2つ以上の独立した実装で運用実績を積み重ねることで、次の「標準」へと進むことができました。この段階での記述は最終版と見なされ、修正は問題が発生した場合の解決のためにのみ行われていました。多くのベンダーは、この段階の仕様を製品に実装していました。

参考資料

RFC 2026 (The Internet Standards Process -- Revision 3)
インターネット10分講座 RFC JPNIC
インターネット標準化過程 JPNIC

外部リンク

List of Official Internet Protocol Standards : これまでの歴史、提唱、草稿、破棄されたもの、実験的なものなどが掲載されています。
RFC 5000 - Internet Official Protocol Standards : STD 1に対応しており、RFC 7100により「歴史的」状態となりました。
List of Full Standard RFCs
Internet Architecture Board
Internet Engineering Steering Group
Internet Engineering Task Force
RFC Editor

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