インター4

シマノ製内装変速機「インター4」：滑らかな変速と静寂性、そして革新的な防犯機能

シマノが過去に製造販売していた自転車用内装変速機「インター4」は、ハブシェル内蔵式の4段変速機です。シマノ内装変速機の基本モデルである「インター3」の3段変速に対し、2セットの遊星歯車機構を用いることで4段変速を実現しました。単なる段数増加ではなく、街乗りに適した変速比設定が大きな特徴です。ローギアとトップギアの比率はインター3とほぼ変わらず、登坂性能や最高速度が劇的に向上するわけではありません。しかし、変速範囲をより細かく分割することで、変速のつながりが自然になり、3段変速機でしばしば経験する「軽すぎず重すぎずの中間ギアがない」というストレスを軽減することに成功しました。

インター4の技術的な特徴

インター4の最大の技術的特徴は、以下の3点に集約されます。

1. 4段変速による滑らかな変速性能: インター3では、3つのギア比の間隔が大きいため、走行状況によっては最適なギアが見つからないことがありました。インター4は、この間隔を狭めることで、より自然で滑らかな変速を実現しました。特に、欧州のサイクリストから高い評価を得ました。
2. サイレントクラッチによる静穏性: 多くの変速機はラチェット機構を使用するため、変速時に「カチカチ」という音が発生します。しかし、インター4はスプラグ式ワンウェイクラッチ（シマノ社では「サイレントクラッチ」と呼称）を採用することで、この作動音を事実上ゼロに抑えました。これは、同時代のシマノ製高級内装変速機であるインター7にもない、インター4独自の大きな特徴です。
3. シンプルでコンパクトな構造: シフトワイヤーの接続部分はリアエンド内側に収まるため、外部への突起物がなく、外観のすっきりとしたデザインを実現しています。これは、後継機種であるインター7やインター8にも受け継がれた設計思想です。

後期型に追加された「おどロック」機能

後期型のインター4には、後輪をロックして自転車を固定する「おどロック」機能が追加されました。これは、変速機部分をロックすることで、簡単に自転車を施錠できる機能です。シマノは「泥棒も持って行けない」という宣伝コピーを用いていましたが、あくまで簡易的な施錠機能であり、高度な防犯性能を期待できるものではありません。そのため、後輪錠やチェーン錠との併用が推奨されます。

「おどロック」機能の追加に伴い、専用のレボシフト式シフターも開発されました。このシフターには「P（パーキング）」ポジションが追加され、鍵を操作しないとPポジションにシフトできないようになっています。安全性を確保するため、おどロック付きインター4には旧型シフターの使用が禁止されています。

バリエーション

インター4は、いくつかのバリエーションが存在します。

自動変速タイプ（オートDタイプ）: センサーとマイクロコンピューターで制御されるモーターユニットと組み合わせた自動変速モデルです。初期モデルは単純な自動変速でしたが、改良を重ねることでモード切り替えやマニュアル操作、液晶ディスプレイによる情報表示などが可能となりました。D（ドライブ）、Ds（ドライブスポーツ）、手動モードに加え、おどロック機能も搭載されています。
駆動方式: チェーン駆動とベルトドライブの2種類がありました。
* ブレーキ方式: 主に欧米市場向けにコースターブレーキ内蔵モデルも存在しましたが、日本国内ではあまり普及しませんでした。

インター4の市場における位置づけ

インター4は、滑らかな変速性能と静穏性、そして革新的な防犯機能を備えた高性能な内装変速機でしたが、日本市場では価格の高さが普及の妨げとなりました。一方、自転車や機械に対する理解度の高い欧州市場では高い評価を受けました。その後、より多様な走行状況に対応できるインター7やインター8が登場したことで、インター4の製造は終了しました。それでも、その革新的な技術は、後のシマノ製内装変速機の進化に大きく貢献しました。

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