インターM

シマノ製ローラーブレーキ「インターM」：その構造と歴史

シマノが1995年に開発した自転車用ブレーキ「インターM」は、ローラーブレーキの一種として知られています。当初は「INTER-M」と表記されていましたが、2000年代半ば以降、この表記は用いられていません。本記事では、その構造、特徴、搭載車種、そして歴史について詳しく解説します。

独自の構造と動作原理

インターMブレーキは、車輪のハブに直接接続され、バンドを用いてフレームに固定される点が特徴です。後輪への搭載が一般的ですが、前輪用も存在します。制動時の発熱を軽減するため、放熱フィンを備えたモデルも存在しました。

ブレーキレバーの操作によってワイヤーが作動し、アームを引きます。この動作がカムを回転させ、ローラーを押し上げ、ブレーキシューをドラムの内側に押し付けます。この摩擦によって制動力が発生する仕組みです。カムからドラム内部までがカバーで覆われているため、内部構造は外部からは見えません。このローラーを用いた構造が、ローラーブレーキと呼ばれる所以です。

メリットとデメリット

インターMブレーキは、従来のバンドブレーキに比べて、走行中の音鳴りが少ないこと、雨天時でも安定した制動力を発揮することがメリットとして挙げられます。しかし、金属同士の摩擦による制動であるため、定期的なグリースの注入が不可欠です。また、初期制動力が低い点がデメリットとして挙げられ、独特のブレーキタッチ（グニャリとした感じ）が特徴です。

交換の難易度と代替案

インターMブレーキは、多くの安価な自転車に採用されているバンドブレーキとはハブ取付部の形状が異なります。そのため、インターMブレーキから他のブレーキへの交換は、ハブまたは車輪全体の交換が必要となる大掛かりな作業です。そのため、バンドブレーキと同じ取付部のサーボブレーキへの交換が現実的な選択肢となります。

搭載車種と用途

インターMブレーキは、シティサイクルや軽快車といったいわゆる「ママチャリ」に多く採用されてきました。そのメンテナンスフリーな特性から、街乗り用途を想定したスポーツ車にも、内装変速機などと組み合わせて採用されるケースがあります。

一部の自転車愛好家は、大型放熱フィン付きの「ハイパーローラーブレーキ」（ヨーロッパ製）への換装を行う例も見られます。これは、より高い制動性能を求めるユーザー向けの選択肢と言えるでしょう。

まとめ

シマノのインターMブレーキは、長年に渡り多くの自転車に採用され、その信頼性を証明しています。ローラーブレーキ特有のメリット・デメリットを理解した上で、適切なメンテナンスを行うことで、安全で快適な自転車ライフを送ることが可能です。独特のブレーキタッチは、慣れが必要となる点も留意すべきでしょう。

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