インディアナ大学ヘルス・ピープル・ムーバー

インディアナ大学ヘルス・ピープル・ムーバー

アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス市に位置するインディアナ大学ヘルス・ピープル・ムーバーは、全長2.25km（約1.4マイル）、軌間1,219mm（4フィート）の狭軌を採用した全自動無人運転車両システムです。かつてはクラリアン・ヘルス・ピープル・ムーバーとして知られていました。

システムの概要と役割

このシステムは、インディアナ大学ヘルスが共同で運営する3つの主要病院、すなわちインディアナポリス・メソジスト病院、インディアナ大学病院、およびジェームズ・ウィットコーム・ライリー小児科病院を結ぶために導入されました。2003年6月28日に営業運転を開始し、現在もこれらの医療施設間の重要な交通手段として機能しています。

路線は単線が2本並列して設けられており、一般の利用者も乗車可能です。運行は1日24時間にわたり行われており、高い利便性を提供しています。区間内の所要時間は約5分で、日中の運行間隔は6分ごととなっています。

特筆すべきは、本システムがアメリカ国内において、公共の道路空間（上空）を利用して走行する形態の民間交通システムとしては、唯一現存する事例であるという点です。この特徴は、当システムをユニークな存在として位置づけています。

導入の背景と歴史

システムの導入は、1997年にインディアナ州で施行された法律に基づき、3つの主要病院が経営統合されたことに端を発します。この統合により、1万人を超えるスタッフが日常的にこれらの病院間を行き来する必要が生じました。統合前は、各敷地間の移動は複雑で、特にシャトルバスを利用する場合、州間高速道路65号線を横断する必要があり、効率性や安全性に課題がありました。

こうした状況を改善するため、新たな交通システムの導入が検討されました。2000年5月には、「保険医療交通システム経営権契約」が締結され、続いて州との間で「ピープル・ムーバー－インディアナ州空域契約およびリース」が交わされました。さらに、計画推進上の大きな障害であった州間高速道路65号線下の横断についても、2000年11月に25年間の使用許可が得られ、システムの建設に向けた具体的な準備が進められました。

システム構成

本システムは、カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くシュワガー・デイビス社（SDI）によって、同社の「Unitrak」規格に基づいて建設されました。軌道は高架化されたガイドウェイが単線並列で設置されており、どちらの線路も双方向運転が可能となっています。

レール部分はコンクリート製で、冬季の積雪対策としてレール間に間隙が設けられているのが特徴です。この構造から、技術的にはモノレールとは区別されます。

運行に使用される車両は3両編成で、2本の線路にそれぞれ1編成ずつ、計2編成が配備されています。1編成あたりの重量は約20トン、定員は81名で、うち24名分の座席が設けられています。

運行の特徴

24時間運行が基本ですが、夜間（18:00から翌朝5:30まで）は保守点検のため、通常、どちらか一方の線路が閉鎖されます。この時間帯は、残りの1本の線路を使用して運行が継続されます。運行方式も日中とは異なり、利用者の呼び出しに応じて列車が運行されるオンデマンド・モードに切り替わります。これは、まるでエレベーターを呼び出すような感覚で利用できるシステムです。

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