インドとニウエの関係

インドとニウエの二国間関係は、南アジアの大国とポリネシアの小さな島嶼国家の間で発展してきました。両国は外交関係を樹立して以来、様々な分野で協力を進めています。

外交関係の樹立と歴史

インドとニウエが正式な外交関係を樹立したのは、比較的最近のことです。2010年8月30日、クック諸島で開催された太平洋諸島フォーラム（PIF）の機会に、当時のインド外務大臣であったエダッパカト・アハメド氏とニウエのトケ・タランギ首相が共同声明に署名したことにより、両国間の公式な関係が始まりました。インドは、ニウエにとって6番目に外交関係を結んだ国となりました。

インドは、ニュージーランドの首都ウェリントンに置かれているインド高等弁務官事務所がニウエも兼轄する体制をとっています。この事務所は、1999年3月にフィジーのスバにあるインド高等弁務官事務所に移管されるまでは、クック諸島も兼轄していました。

政治的交流と協力枠組み

ニウエは太平洋島嶼国の地域協力機構である太平洋諸島フォーラム（PIF）のメンバー国です。インドはこのフォーラムの「対話パートナー」として、PIF加盟国との関係強化に努めています。

特に、インドの第1次モディ政権が2014年に開始した「インド太平洋諸島協力フォーラム」（FIPIC）は、インドと太平洋島嶼国、そしてニウエとの関係をさらに促進する重要な枠組みとなりました。2014年11月19日には、フィジーのスバで開催された第1回FIPICサミットに、ニウエのトケ・タランギ首相率いる代表団が参加し、インドのモディ首相と会談しました。また、2015年8月21日にインドのジャイプルで開催された第2回FIPICサミットにも、トケ・タランギ首相を団長とするニウエ代表団が参加しています。

このようなハイレベルの交流に加え、2013年10月にはニウエ保健省副大臣であったDalton Emani Makamau Tagelagi氏が、ニューデリーで開催された「第2回アジア・太平洋子どもの権利のための南南協力ハイレベル会合」に出席するなど、閣僚級の往来も見られます。

経済関係と貿易

インドとニウエ間の二国間貿易は現在のところ限定的な規模に留まっています。具体的な貿易データを見ると、例えば2014年から2015年の会計年度には、インドはニウエから約2万ドル相当の機械や機械部品を輸入しましたが、インドからのニウエへの輸出は記録されていません。翌年の2015年から2016年の会計年度では状況が変化し、インドはニウエへ約4万ドル相当の皮製品（ハンドバッグや馬具など）を輸出しましたが、ニウエからの輸入はありませんでした。

両国間貿易の促進に向けた取り組みも行われています。第2回FIPICサミットの際に、モディ首相はインド商工会議所連合会（FICCI）内にFIPICの貿易事務所を開設することを発表しました。この貿易事務所は「FIPICビジネスアクセラレーター」と名付けられ、2015年9月7日に正式に開設されました。また、インド産業連盟（CII）もニューデリーの本部に、太平洋島嶼国との貿易促進に特化した専門部門を設置しています。これらの動きは、将来的な貿易拡大への期待を示唆しています。

人的交流と文化

ニウエでは、ニュージーランドやオーストラリアへの移民による労働力不足という課題に直面しており、これに対応するため、2006年から限定的ながらインド人を含む外国人労働者の移民を許可し始めました。同年に、バニラやノニ（ヤエヤマアオキ）を栽培するインドとニウエの合弁会社で働くために、20人のインド人シーク教徒がニウエに移住しました。現在、ニウエには小さなインド人コミュニティが存在しています。

教育の分野では、韓国系アメリカ人によって設立されたニウエのLord Liverpool大学に何人かのインド人学生が入学した時期がありましたが、この大学は開設から短期間で閉鎖されています。

開発協力と援助

インドは、太平洋島嶼国との連帯を示すため、ニウエを含む地域への開発援助を積極的に行っています。2006年、インドはニウエを含む14の太平洋島嶼国それぞれに対し、年間10万ドルの助成金を提供することを発表しました。この金額は2009年からは年間12万5000ドルに増額されました。これらの資金は、教育機関の設備購入や、監査事務所のソフトウェア導入、政府省庁のコンピューター購入、漁具アップグレード、公益施設の建設など、多岐にわたる目的で活用されています。

2014年11月19日の第1回FIPICサミットにおいて、モディ首相は太平洋島嶼国との関係強化のため、いくつかの重要な施策を発表しました。これには、ビザ政策の緩和、PIF諸国への年間助成金を20万ドルに増額すること、二国間貿易を促進するための様々な施策、そして開発援助の拡大が含まれます。

さらに、ニウエの市民は、インド政府が提供するインド技術経済協力プログラム（ITEC）の奨学金を利用することができ、インドでの様々な研修や教育プログラムに参加する機会を得ています。

まとめ

インドとニウエの関係は、2010年の外交関係樹立以降、政治、経済、文化、開発援助といった多岐にわたる分野で着実に発展しています。FIPICのような協力枠組みは両国間の結びつきを強め、貿易促進や開発協力の新たな道を開いています。地理的には遠く離れていますが、両国は太平洋島嶼国との協力という文脈の中で、相互理解と協力を深めていくことが期待されます。

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