太平洋諸島フォーラム

太平洋諸島フォーラム（PIF）の概要

太平洋諸島フォーラム（PIF、Pacific Islands Forum）は、南太平洋地域に位置する独立国や自治政府から構成される国際機関です。かつては南太平洋フォーラム（SPF）として知られており、フランスによる核実験への反対運動を背景に、1971年に設立されました。当初は政治的団体の側面が強く、域外諸国との協力関係構築にも注力していましたが、現在は経済協力や地域開発も重要な活動内容となっています。

南太平洋フォーラム時代（1971年～1999年）

SPF時代において、PIFの前身組織は、フランスによる核実験や、日本の海洋実験投棄計画など、地域社会に影響を与える問題に対して、加盟国が結束して抗議や声明を発表するなど、国際社会への働きかけを積極的に行いました。この時代は、域外諸国との協調と、地域内の経済発展という二つの軸を重視していました。特に、環太平洋諸国との連携強化を目指し、アジア太平洋経済協力（APEC）加盟国との協力関係構築に力を入れていました。

代表的な事例としては、1966年から行われたフランス領ポリネシアにおけるムルロア環礁での核実験への抗議、フランス領ニューカレドニアの独立支援声明、そして1980年代に日本が計画した低レベル放射性廃棄物海洋実験投棄計画への反対運動などが挙げられます。日本の計画は、南太平洋諸国からの強い反対を受け、最終的に中止されました。

2000年には、キリバスにおいて開催された第31回フォーラム首脳会議において、「ビケタワ宣言」が採択され、南太平洋地域の安全保障に関する枠組みが確立されました。日本政府は、2005年にはPIF諸国に対するごみ減量化やリサイクル支援策を決定するなど、具体的な協力支援も行っています。

近年の動向と課題

近年、PIFは組織運営上の課題に直面しています。事務局長選出をめぐる紛争が、加盟国間の緊張を高めました。従来はメラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの3地域が事務局長職をローテーションする紳士協定がありましたが、2021年の事務局長選挙でミクロネシア圏の候補者が敗れたことを受け、ミクロネシア圏5カ国がPIFからの離脱を表明する事態となりました。その後、一時的な離脱停止を経て、キリバスが2022年に改めて離脱を表明するなど、組織の安定性に懸念が生じています。しかし、2023年にはキリバスが復帰を果たしており、今後の組織運営の在り方が注目されます。

2022年には加盟6カ国が合意し、事務局長選出における内部対立の解消や組織改革が行われ、ローテーション制が正式ルール化されるなど、改善策が講じられました。しかし、組織改革が完全に成功したとは言い切れません。

加盟国と協力関係

PIFの本部はフィジーのスバに置かれ、16の国と地域が加盟しています。オーストラリアとニュージーランドは主要な援助供与国であり、日本も開発援助や技術協力などを通してPIFを支援しています。

加盟国はメラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの3つの地域にまたがっていますが、近年のミクロネシア圏諸国の離脱表明は、PIFの地域的結束に大きな影を落としました。

ニューカレドニアとフランス領ポリネシアは準メンバーとして、様々な形でPIFの活動に参加しています。その他、多くの国々がオブザーバーとして参加しており、PIFは国際的な協力ネットワークを構築しています。

今後の展望

PIFは、南太平洋地域の平和と繁栄に貢献する重要な役割を担っています。しかし、近年発生した加盟国の離脱や組織運営上の課題は、PIFの将来に大きな影響を与えかねません。今後のPIFは、加盟国間の信頼回復、組織改革の更なる推進、そして域外諸国との更なる協力関係構築など、数々の課題に直面しています。これらの課題への対応いかんが、PIFの将来を大きく左右するでしょう。

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