インド総督

インド総督について

インド総督（Governor-General of India）は、イギリスの植民地であったインドにおいて、中枢的な役割を担っていた政治的な地位です。この役職は、1858年まではイギリス東インド会社が、以降はヴィクトリア女王の政府が直接に統治を行う形で存在しました。インド総督の歴史とその権限、そして役割の変遷について詳しく見ていきましょう。

歴史的背景

イギリス東インド会社は1600年に設立され、その目的は東洋貿易の独占でした。1757年には、プラッシーの戦いでの勝利を経て、政治的権力を志向するようになり、1773年の規正法によりカルカッタの商館が最高商館となり、ベンガル総督へと昇格しました。

1833年に特許法が制定されたことで、ベンガル総督はインド総督に改称され、インド全域を統治する中央政府としての役割を持つことになります。1891年以降、インド総督はイギリス本国の政府に対しても一定の責任を負うようになりましたが、実際にはその権限は広範であり、長い間専制的な地位を保持していました。1861年から1947年のインド独立まで、インド総督は国家元首としての儀礼的な役割とともに、実質的な行政権と軍事権を持っていました。

権限とその行使

インド総督の権限は非常に強力で、内閣に相当する行政参事会の助けを借りつつ、全域の統治を司っていました。立法議会も存在したが、総督の助言機関以上にはなれず、実質的には独裁的な権力を行使していました。インド総督はイギリス政府のインド担当大臣に責任を持ちつつも、イギリス議会には責任を持たないという独特の立場にありました。

人選のプロセス

インド総督の選任は主に首相やインド担当大臣の判断に依存しましたが、時には国王が直接決定することもありました。総督として任命される人物は、政治家、軍人、外交官、行政官など多岐に渡り、その経歴も様々です。

給与と待遇

1773年以降、インド総督の年俸は2万5000ポンドであり、この高給は当時の他の政府高官よりも非常に魅力的でした。しかし一方で、インドはイギリス人にとって健康リスクが高い土地でもあり、「インドは総督の墓場」と言われることもありました。歴史を通じて、数人の総督がインドで健康を害し、帰国後に亡くなることが多く見られました。

歴代の総督

1793年にベンガル総督に昇格した初代コーンウォリス侯爵から、1858年にヴィクトリア女王の直接統治に切り替わるまで、多くの総督がインドを治めました。各総督は、その在任期間において様々な影響を与え、インドの歴史に名を刻むこととなりました。

結論

インド総督は、イギリスの植民地政策における重要な役割を果たしましたが、1947年のインド独立と共にその役職は廃止されました。総督が持っていた権限や影響力は、その後のインドの政治制度に大きな影響を与え続けています。インドの歴史を理解する上で、インド総督の存在は欠かせません。

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