インナー・ロンドン

インナー・ロンドン：歴史と定義

インナー・ロンドンは、グレーター・ロンドンの中心部を構成する地域です。その範囲は時代とともに変化しており、明確な定義は複数存在します。歴史を紐解くと、当初は死亡統計の地域区分として用いられ、1847年には統計目的の地域として定着、1855年から1965年までは地方自治体の単位としても機能していました。

現在では、主に2つの定義が用いられています。1つ目は、1963年のロンドン政府法に基づく定義です。これは、12のロンドン自治区から成り、1965年4月1日の同法施行と同時に廃止されたカウンティ・オブ・ロンドンの範囲とほぼ一致していました。

この法令上のインナー・ロンドンを構成する自治区は以下の通りです。

イズリントン区
シティ・オブ・ウェストミンスター
カムデン区
グリニッジ区
ケンジントン・アンド・チェルシー区
サザーク区
タワーハムレッツ区
ハックニー区
ハマースミス・アンド・フラム区
ランベス区
ルイシャム区
ワンズワース区

興味深い点として、シティ・オブ・ロンドンは、この法令上ではインナー・ロンドン自治区に指定されていませんでしたが、一般的にはインナー・ロンドンに含まれるとみなされています。

2つ目の定義は、英国国家統計局（ONS）が用いている定義です。これは、前述の11の自治区に加え、アウター・ロンドンから2つの自治区（ハーリンゲイ区とニューアム区）を含み、一方でグリニッジ区を除外したものです。さらに、シティ・オブ・ロンドンもこの定義に含まれています。ONSとユーロスタットはこの定義を用いており、その面積は約319平方キロメートル、2011年の人口は約323万1901人とされています。

このように、インナー・ロンドンの定義は、法的定義と統計的定義で異なっています。歴史的な経緯と現在の行政・統計上のニーズを反映した結果、複数の定義が存在し、それぞれの文脈で適切な定義を選択する必要があると言えるでしょう。

インナー・ロンドンの地理的な位置づけは、グレーター・ロンドンの中心部にあり、歴史的建造物や観光地、商業の中心地などが集中していることから、ロンドンの経済や文化の中枢としての役割を担っています。ロンドンの発展の歴史において、インナー・ロンドンは中心的な役割を果たしてきたことは間違いありません。それぞれの定義の違いを理解することで、ロンドンの歴史と現状をより深く理解することができるでしょう。

今後、インナー・ロンドンの定義や範囲がどのように変化していくのか、今後の統計データや行政上の動きに注目していく必要があります。

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