ユーロスタット

ユーロスタット（Eurostat）について

ユーロスタットは欧州委員会の一部門として、主に統計に関する業務を担当しています。ルクセンブルクに位置するこの機関は、欧州連合（EU）に関連するさまざまな資料や統計データを作成し、加盟国間の調整を促進することを目的としています。日本においては、欧州連合統計局もしくはEU統計局という名称で呼ばれることもあります。

組織構成

ユーロスタットは、欧州委員会の総局の一つであり、そのトップには総局長がいます。現在の総局長は、元ブルガリア国家統計院長官であるマリアナ・コトゼヴァ氏で、2017年からこの役職を務めています。また、副総局長1名、局長7名、そして主席顧問1名が、それぞれユーロスタットのさまざまな業務に責任を持っています。

主な役割

ユーロスタットは、アグリゲートデータを活用し、経済統計、貿易統計、企業統計、地域や社会に関する統計、さらには農業や環境に関するデータを提供しています。特に、ユーロスタット年鑑では、EU全体やユーロ圏、加盟国のデータを整理したもので、それに加えて主要な非加盟国についての統計データも発表しています。

ユーロスタットの主な役割として、以下の4点が挙げられます：
1. マクロ経済データの作成：欧州中央銀行の金融政策に寄与するため、関連データを生成します。
2. 過剰財政赤字手続きに必要なデータの提供：加盟国の財政健全性を評価するために必要な情報を収集し、提供します。
3. 構造政策のための地域データ提供：地域統計分類単位（NUTS）に基づき、構造政策を支えるデータを整備します。
4. リスボン戦略に基づく構造指標の算出：高齢労働者の就労率、温室効果ガス排出量、健康寿命といった指標を算出し、政策の進捗を評価します。

データのアクセスと出版物

ユーロスタットは、活動の透明性を確保するため、公式ウェブサイトを通じて幅広いデータと電子刊行物を公開しています。データは以下のカテゴリに分類されており、ほとんど全てがダウンロード可能です：

• - 全般的・地域統計
• - 経済・財政
• - 人口・社会動態
• - 産業・商業・サービス
• - 農業・漁業
• - 対外貿易
• - 運輸
• - 環境・エネルギー
• - 科学・技術

一部の刊行物は紙媒体でも発行され、EUブックショップで購入することができます。

不祥事とその影響

ユーロスタットは、2000年に内部監査において外部企業との契約に関する問題が発覚しました。これを受けて欧州不正対策局に調査が求められましたが、当初は対応が行われませんでした。2001年には、欧州議会議員がユーロスタットの問題に関する報告書を作成し、さらなる関心を集めました。

最終的に、欧州不正対策局は調査を実施し、「共同資金の略奪に対する大規模な企業活動」と題した報告を通じて、問題解決のための具体的な措置が提案されました。結果として、数名のユーロスタットの幹部が解任され、多くの外部契約が取消される事態となりました。

ユーロスタットの事例では、不正確な資金移動や縁故主義、資金の不明朗な扱いが指摘されましたが、特定の個人に利益をもたらした直接的な証拠は見つかっていません。それにもかかわらず、過去の事例には慎重な調査が求められており、2008年には欧州司法裁判所が調査の不適切性を指摘しました。

このようにユーロスタットは、組織の透明性の確保とデータの質に力を注いでいます。

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