インバネスクラブ

インバネスクラブ：ゴルフ史に輝く名門コース

インバネスクラブは、米国オハイオ州トレドにある会員制のゴルフクラブです。1903年の創立以来、その美しいコースと格式高い雰囲気で、多くのゴルファーを魅了してきました。全米オープンを4回、全米プロゴルフ選手権を2回開催するなど、数々のメジャートーナメントの舞台となってきた、まさにゴルフ史に名を刻む名門コースです。

歴史

1903年、トレド在住の富豪たちが資金を出し合い、9ホールのコースを建設したのが始まりです。その後、18ホールに拡張され、1916年には名設計家ドナルド・ロスに依頼して、チャンピオンシップコースへの改修が行われました。この改修は1918年に完了し、インバネスクラブは名実ともに全米屈指のゴルフコースとしての地位を確立しました。

インバネスクラブは、プロゴルファーの地位向上にも大きく貢献しました。20世紀初頭、プロゴルファーはクラブハウスへの立ち入りを禁じられるなど、差別的な扱いを受けていました。しかし、1920年にインバネスで開催された全米オープンに先立ち、クラブのメンバーであるシルバナス・ピエール・ジャーメインが、全米ゴルフ協会 (USGA) と交渉し、出場選手全員のクラブハウスへの立ち入りを認めさせたのです。この出来事は、インバネスクラブが全米で初めてプロゴルファーをクラブハウスに迎え入れたゴルフ場として、ゴルフ史にその名を刻まれることとなりました。

1931年に再び全米オープンがインバネスで開催された際、ウォルター・ヘーゲンはインバネスの寛大な対応に感謝し、他のプロゴルファーたちにインバネスへの敬意を示すよう呼びかけました。その際贈られた大時計は、今もクラブハウスで時を刻み続けています。

バイロン・ネルソンは1940年から1944年までインバネスクラブのヘッドプロを務めました。彼はインバネスを自身のホームコースと考え、1945年にはPGAの試合で11連勝を含む18勝を挙げるという記録を打ち立てました。

コース

インバネスクラブのコースは、ドナルド・ロスの設計によるもので、戦略性と美しさを兼ね備えています。これまで4回の改修が行われており、2016年にはアンドリュー・グリーンによって、ロスの設計思想を尊重しつつ、現代のトーナメントに対応できるようティーの変更やバンカーの増設が行われました。現在のコースは7,700ヤードを超えるチャンピオンシップコースとなっています。

インバネスクラブは、ゴルフウィーク誌の「トップ200クラシックコース」で47位、ゴルフダイジェスト誌では88位にランクインするなど、そのコースの質の高さは広く認められています。

開催トーナメント

インバネスクラブでは、数々のメジャートーナメントが開催されてきました。主なものとして、以下が挙げられます。

全米オープン
1920年 – テッド・レイ
1931年 – ビリー・バーク
1957年 – ディック・メイヤー
1979年 – ヘール・アーウィン
全米アマチュア
1973年 – クレイグ・スタドラー
全米プロゴルフ選手権
1986年 – ボブ・ツエー
1993年 – ポール・エイジンガー
全米シニアオープン
2003年 – ブルース・リツキー
2011年 – オーリン・ブラウン
全米ジュニアアマチュア
* 2019年 – プレストン・サマーヘイズ

近年では、2020年にLPGAツアーのドライブオン選手権、2021年にはソルハイムカップが開催されました。

インバネスクラブは、その長い歴史の中で、数々の名勝負を生み出してきました。これからも、ゴルフ界の重要な舞台として、その輝きを放ち続けることでしょう。

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