ウォルター・ヘーゲン

ウォルター・ヘーゲン：ゴルフ史に輝く名選手

ウォルター・ヘーゲン（Walter Hagen, 1892年12月21日 - 1969年10月5日）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ロチェスター出身のプロゴルファーです。「ザ・ヘイグ」（The Haig）の愛称で親しまれ、競技ゴルフを確立した往年の名選手としてゴルフ史に名を残しています。

生涯と業績

アマチュアとして高潔な道を歩んだボビー・ジョーンズに対し、ヘーゲンはプロゴルファーとして輝かしいキャリアを築きました。彼は、プロスポーツ選手として生涯に100万ドル以上を稼いだ最初の人物であるとも言われています。

ヘーゲンの最大の功績は、メジャー大会での圧倒的な勝利数です。全米オープン2勝、全英オープン4勝、全米プロゴルフ選手権5勝を含む、合計11回のメジャー制覇を成し遂げました。この記録は、ジャック・ニクラスが1973年に12勝目を挙げるまで、44年間にわたりゴルフ界の歴代1位として君臨しました。

ヘーゲンがメジャー初優勝を飾ったのは1914年の全米オープンでした。しかし、その直後に第一次世界大戦が勃発し、ゴルフトーナメントも中断を余儀なくされます。大戦終結後の1919年、ヘーゲンは再び全米オープンで優勝を果たし、その実力を示しました。1920年代に入ると、ヘーゲンは全英オープンと全米プロゴルフ選手権で目覚ましい活躍を見せます。当時の全米プロゴルフ選手権はマッチプレー方式で行われており、ヘーゲンはその方式で5度の優勝を飾っています（1958年以降はストロークプレー方式に変更）。また、1922年にはアメリカ人として初めて全英オープンを制覇し、その名を世界に轟かせました。

ヘーゲンの時代、ゴルフのメジャー大会は全米オープン、全英オープン、全米アマチュア選手権、全英アマチュア選手権の4つでした。1930年には、ボビー・ジョーンズがこれら4大会を年間で制覇し、「グランドスラム」を達成。しかし、ジョーンズは現役引退後の1934年にマスターズを創設し、全米プロゴルフ選手権がメジャー大会として扱われるようになりました。そのため、ヘーゲンが活躍した時代とはメジャー大会の構成が異なりますが、彼が1920年代に獲得した全米プロゴルフ選手権の5勝を含めた通算11勝は、現在でも燦然と輝く記録として評価されています。

日本との関わり

ヘーゲンは1930年5月、日本ゴルフ協会の要請を受けて来日し、日本のトップ選手たちとエキシビション・ラウンドを行いました。また、1937年10月3日に開場した小金井カントリー倶楽部は、ヘーゲンが設計したコースとして知られています。

その後

1969年10月5日、ヘーゲンは76歳でこの世を去りました。1974年には世界ゴルフ殿堂入りを果たし、その功績は永遠に称えられています。1999年に創始された世界ゴルフ選手権の第1戦、「アクセンチュア・マッチプレー選手権」の優勝カップには、彼の名前を冠した「ウォルター・ヘーゲン・カップ」が贈られています。

2006年の全米プロゴルフ選手権でタイガー・ウッズがメジャー12勝目を挙げたことで、ヘーゲンの通算11勝は歴代3位の記録となりましたが、彼の残した功績とゴルフ界への影響は色褪せることはありません。

プレースタイルと人物像

ヘーゲンは、その華麗なプレースタイルとカリスマ性で多くのファンを魅了しました。彼は常に大胆なプレーを心がけ、観客を沸かせるエンターテイナーとしての側面も持ち合わせていました。また、その人間味あふれる性格から、多くのゴルファーやファンに愛されました。

全米プロゴルフ選手権の連続優勝時、開会式で返還するはずのトロフィーを紛失してしまい、その事実を隠し通すために優勝し続けたというエピソードは、彼の破天荒な人柄をよく表しています。このエピソードは、クイズ番組の題材にもなりました。

まとめ

ウォルター・ヘーゲンは、ゴルフの歴史に名を刻む偉大なプロゴルファーです。11回のメジャー優勝という輝かしい記録に加え、その華麗なプレースタイルと数々の逸話は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。彼は、まさにゴルフ界のレジェンドと呼ぶにふさわしい存在です。

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