インパール

インパール：歴史と自然が織りなすインド北東部の都市

インド北東部マニプル州の州都インパールは、単なる州都としてだけでなく、悠久の歴史と豊かな自然に彩られた魅力的な都市です。かつてのマニプル王国の首都でもあったインパールは、2011年時点で約26万人が暮らす活気ある都市へと発展しています。

インパールの自然

インパールはインパール渓谷に位置し、周囲を丘陵に囲まれた地形が特徴です。インパール川、イリル川、セクマイ川、トウバル川、クガ川など、多くの小さな川が渓谷を潤し、緑豊かな自然環境を形成しています。

街の中心部には、独特の文化に触れることができる場所があります。「Ima Keithel」と呼ばれるバザールでは、女性たちだけが商品を販売しており、地元の伝統が息づいています。

歴史の重み：カングラ宮殿跡

インパールの歴史の中心をなすのが、堀で囲まれたカングラ宮殿跡です。かつてのマニプル王国の宮殿であったこの場所は、イギリスによって「マニプルの要塞」と呼ばれていました。インパール川西岸の乾いた土地に築かれたこの城砦は、マニプリ語で「乾いた地」を意味する「カングラ」と呼ばれています。

マニプル王国はビルマとの国境に位置し、度々ビルマからの侵略を受けていました。そのため、ベンガルを支配していたイギリス植民地政府にしばしば支援を求めました。イギリスはビルマ軍を撃退し、アッサム地方をも支配下に置きました。

しかし、1891年、王位継承を巡る争いが勃発。イギリスは王位を奪ったジュヴラジ・ティケンドラジットを簒奪者とみなし、カングラ宮殿を襲撃しました。この襲撃は、舞踊の集まりに参加していた民間人をも巻き込む大惨事となりました。これによりマニプル軍が反撃を開始、イギリス軍の士官や植民地政府役人が殺害される事態に発展し、イギリス・マニプル戦争へと繋がりました。1891年4月、マニプルはイギリスに屈服しました。2003年までこの地はインド軍精鋭部隊のアッサム・ライフル部隊の基地として利用されていました。

ポロ発祥の地とマニプル州博物館

インパールには世界最古のポロ競技場もあります。イギリス軍がマニプルでポロを学び、そのルールを洗練させたという説もあります。近くにはマニプル州博物館があり、マニプルの歴史を伝える貴重な遺物、絵画、写真などが展示されています。

第二次世界大戦とインパール作戦

第二次世界大戦では、インパールは連合国の反攻拠点となりました。1944年3月8日、日本軍はインパール作戦を実行し、イギリス領インド帝国への侵入を目指しました。しかし、兵站を無視したこの作戦は、日本軍に多大な損害を与え、ビルマ戦線の崩壊を招き、日本軍のアジアにおける優位は失われました。

絶滅危惧種サンガイとインパールの分割

インパール周辺地域には、サンガイという絶滅危惧種の鹿が生息しています。この鹿はマニプルでしか見られない希少種であり、ケイブル・ラムジャオ国立公園に生息するサンガイの数は、2000年の調査ではわずか162匹でした。

1997年6月18日には、インパール地域は西インパール県と東インパール県に分割されました。

交通

インパールへのアクセスは、インパール空港が主要な手段です。ニューデリー、コルカタ、グワーハーティー、シルチャルなど、インドの主要都市と空路で結ばれています。

インパールは、歴史、文化、自然が調和した魅力あふれる都市です。その歴史と自然に触れ、独特の文化を体験することで、忘れられない旅となるでしょう。

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