インファンタ・マリア・テレサ級装甲巡洋艦

インファンタ・マリア・テレサ級装甲巡洋艦

インファンタ・マリア・テレサ級装甲巡洋艦は、スペイン海軍が自身で設計・建造した初めての装甲巡洋艦です。この艦級は、当初の前弩級戦艦の建造計画を変更し、急遽植民地防衛のために建造されたもので、ビルバオ海軍工廠にて3隻が建造されました。艦名はスペイン王室のマリア・テレサに由来しています。

背景と建造の経緯

この艦級の建造は、ドイツ帝国による植民地拡張の動きが高まる中で決定されました。当時、スペインのカロリン諸島が危険にさらされていたため、その防衛力を強化する必要があったのです。このため、海軍の予算は新型の装甲巡洋艦に振り向けられ、インファンタ・マリア・テレサ級が誕生しました。

活動と戦歴

米西戦争中、インファンタ・マリア・テレサ級の3隻はパスクワル・セルベラ提督の指揮の下でカリブ海へ派遣され、主にキューバの防衛任務に従事しました。特にインファンタ・マリア・テレサはセルベラ提督の旗艦として、サンチャゴ・デ・キューバ海戦に参加しましたが、アメリカ艦隊の攻撃により全隻が沈没してしまいました。

船体と設計

本級は平甲板型の船体を採用し、艦首には衝角を備えていました。前部甲板上には前向きの単装露砲塔が1基設置されており、艦橋は司令塔と船橋が一体となった形状でした。煙突は2本立ち、艦内の吸気用通風筒も備えています。武装としては、28cm砲と14cm砲が搭載されており、各方向に多様な攻撃が可能でした。

武装

主砲

インファンタ・マリア・テレサ級の主砲には、フランスのカネー社製「カネー Model 1883 28cm砲」が採用されており、非常に高い貫通力を持っていました。この砲は266kgの弾薬を発射し、最大射程10,460mに達し、相手の装甲を貫通する力もありました。デザインは単装式のフード付き露砲塔に収められ、高度な射撃能力を有していました。

副砲とその他の武装

副砲には「カネー Model 1884 14cm速射砲」を採用し、優れた射程を持つ一方で、近接戦用にはノルデンフェルト 25mm機関砲とその他の小型砲も各舷に配置されていました。また、対艦攻撃用に魚雷発射管も搭載されており、多様な戦況に対応できる能力が備わっていました。

同型艦

インファンタ・マリア・テレサ級には、同じくスペイン海軍のビスカヤやアルミランテ・オクェンドが含まれます。同型艦全体が米西戦争を通じて戦ったものの、厳しい運命に見舞われた艦級でもありました。

参考文献

艦級に関する詳細な情報は、主に「Conway All The World's Fightingships」などの文献に収められています。これらの資料は、本級の設計や戦歴を深く理解するための貴重な情報源とされています。

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