インフィニティ・ウォー

インフィニティ・ウォー（The Infinity War）

『インフィニティ・ウォー』は、1992年にマーベル・コミックスから刊行されたリミテッドシリーズです。ジム・スターリンが原作を手掛け、ロン・リムなどが作画を担当しました。1991年のクロスオーバー作品『インフィニティ・ガントレット』の直接的な続編であり、翌年には『インフィニティ・クルセイド』へと続きます。

刊行履歴

本編は全6号で、1992年6月から11月にかけて刊行されました。また、『ウォーロック・アンド・ザ・インフィニティ・ウォッチ』誌の7号から10号（1992年8月～11月）でも重要なストーリーが展開されました。これらのシリーズは、いずれもスターリンが原作を担当しています。

その他、以下のシリーズがクロスオーバーに参加しています。

Alpha Flight #110-112
Avengers #360-363
Captain America #408-410
Daredevil #310
Deathlok #16
Doctor Strange, Sorcerer Supreme #42-47
Fantastic Four #366-370
Incredible Hulk #393-397
Marc Spector: Moon Knight #41-44
New Warriors #27-28
Nomad #7-8
Quasar #34-36
Robin Hood: Sherwood Forest #4
Silver Surfer #67-69
Spider-Man #24-27
Warlock and the Infinity Watch #7-10
* Wonder Man #12-13

これらのシリーズは、1992年7月から11月の間に刊行されました。なお、コメディ色の強い作品『What The--?!』誌20号（1992年8月）では、ヒーローたちが「インフィニティ・ウォート（wart=いぼ）」に悩まされるというパロディが掲載されました。

あらすじ

スーパーヒーローのアダム・ウォーロックは、「インフィニティ・ガントレット」を手にしたことで全知全能の力を得ます。しかし、その強大な力を制御するため、彼は自らの善と悪の側面を切り離し、完全に論理的な存在になろうとします。しかし、宇宙の強大な存在たちはウォーロックを審判にかけ、全能の力を持つには不適格であると断罪します。感情を超越したウォーロックは、それを受け入れ、ガントレットのパワー源であるインフィニティ・ジェムを分割することに同意します。

その裏で、ウォーロックの悪の側面であるメイガスが復活します。メイガスは宇宙を征服し、ウォーロックとサノスに復讐しようと企み、5個のコズミック・キューブを入手して、その力でコズミック・ビーイングの一柱であるエターニティを無力化します。さらに、次元の狭間に拠点を築き、地球のスーパーヒーローの邪悪な鏡像であるドッペルゲンガーの軍団を創造します。

コズミック・キューブのエネルギーを追っていたサノスは、メイガスと遭遇し、ウォーロックに警告します。メイガスはドッペルゲンガーを地球に送り込み、本物とすり替わった悪のミスター・ファンタスティックは、ヒーローたちをファンタスティック・フォーの本部に集め、ガンマ爆弾で一掃しようとします。しかし、インビジブル・ウーマンが爆風を抑え、ソーが放射性物質を宇宙に送り、危機を脱します。そこに突如ポータルが開き、偽のサノスを引き連れたメイガスがドッペルゲンガーを連れ去ります。ヒーローたちは、ウォーロックがサノスと手を組んだと誤解します。

選抜された地球のヒーローは、ウォーロックのチームであるインフィニティ・ウォッチに戦いを挑み、サノスも応戦します。しかし、ギャラクタスが訪れて強制的に戦いを終わらせ、メイガスへの対抗策を練ります。ウォーロックは再び6個のジェムを合わせようとしますが、ガントレットは応答しません。多元宇宙の審判者であるリビング・トリビューナルがジェムの機能を制限していたのです。ギャラクタスはトリビューナルに嘆願するため向かいますが、エターニティは意識を取り戻しません。

ギャラクタスが去ると、一部始終を観察していたメイガスが突入し、ガントレットとともにウォーロックを拉致します。メイガスの基地で、物語は佳境を迎えます。ヒーローたちはドッペルゲンガーとすり替えられた人々を救出し、大宇宙の守護者クエーサーはサノスに唆され、使用者をも巻き添えにする超兵器アルティメット・ヌリファイアーでメイガスを狙います。さらに、異常なエネルギー波を追跡してきた征服者カーンとドクター・ドゥームがメイガスを襲撃します。メイガスは反撃のためコズミック・キューブに向かいますが、何者かによって盗まれていました。ドゥームはガントレットを渡すよう迫ります。

その時、ギャラクタスとガモーラがエターニティを回復させ、ガントレットを再起動させます。メイガスの体にパワーが満ち溢れます。ドゥームは容易く退けられ、クエーサーはヌリファイアーを起動させることなく消滅させられます。突入したギャラクタスとヒーローたちも石像へと変えられてしまいます。しかし、サノスはメイガスのパワーの綻びを指摘します。その隙にウォーロックはメイガスに組み付き、ガントレットからエターニティとインフィニティの双子が一体化した存在を呼び起こし、その力でメイガスをソウル・ジェムに封印します。

メイガスが全知全能を得たというのは錯覚でした。彼の手に渡ったリアリティ・ジェムは偽物であり、本物はウォーロックからサノスに託されていたのです。ヒーローたちは地球に帰還します。リビング・トリビューナルの意を受けたエターニティは、今後どのような危機が訪れようとも、すべてのジェムの力を合わせることは許さないと宣言します。

そして宇宙のどこかでは、ウォーロックの善の側面がコズミック・キューブに囲まれて瞑想していました。

合本

全編を収録したペーパーバック単行本『インフィニティ・ウォー』が刊行されています（2006年4月、ISBN 0-7851-2105-6）。収録号は本編ミニシリーズ全6号、Warlock and the Infinity Watch #7-10、Marvel Comics Presents #108-111です。

もう一度検索