インフィニティ・パフォーマンス・ライン

IPL（インフィニティ・パフォーマンス・ライン）

IPL、すなわちInfiniti Performance Lineは、日産自動車がグローバルに展開する高級車ブランド、インフィニティにおいて、より高性能でスポーティなモデルを手がけるチューニング部門として設立されました。標準モデルに対して、動力性能や走行性能を高めるための改良、そして内外装のデザインを特別なものとすることで、ブランドのハイパフォーマンス領域を担う存在として位置づけられていました。

設立と活動開始

IPLの設立は、2010年8月13日に正式に発表され、その活動が公となりました。同年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスという、世界的に有名な自動車関連イベントにおいて、この新しい部門が初めて手がけたチューニングカーがお披露目されました。それが「IPL Gクーペ」であり、インフィニティの主力モデルであるG37クーペをベースとして開発されました。発表後間もなく、2010年12月には主要市場である北米において、このIPL Gクーペの販売が開始されました。ただし、当時の情報は、北米以外の地域への展開については、今後の検討課題であるとしていました。

モデルに施される特徴

IPLのエンブレムを冠するモデルには、標準仕様とは異なる数々の専用装備やチューニングが施されています。まず、走行性能においては、エンジンやサスペンションといった主要コンポーネントに性能向上のための特別なセッティングが与えられます。これにより、より力強い加速やシャープなハンドリング、安定した乗り心地など、スポーティなドライビング体験が追求されています。

外観デザインも、IPLモデルの重要な特徴の一つです。専用にデザインされたフロントおよびリアバンパー、サイドスカート、スポイラーなどのエアロパーツが装着されることで、標準モデルとは一線を画す、アグレッシブでダイナミックなスタイリングが実現されています。これらのパーツは、単なるデザイン要素としてだけでなく、空力性能の向上にも寄与していると考えられます。

そして、IPLモデルであることの証として、トランクリッドなどには専用の「IPL」エンブレムが配されます。このエンブレムのデザインには、ブランドの哲学が象徴的に表現されています。特に特徴的なのは「I」の文字表現で、文字本体の左側が鮮烈な赤で彩られ、その背後には影文字のような形で深みのある紫色が重ねられています。この色彩には意味が込められており、赤はIPLが目指すスポーティネス、情熱、そして卓越した運動性能を象徴しています。一方、紫色には、インフィニティがブランドとして掲げるタグライン「Inspired Performance」（素晴らしい性能）が示唆する、高性能であることへの揺るぎない約束や、ブランドが持つ洗練されたイメージが反映されているとされています。

展開された主な車種

IPL部門が活動を開始して以降、具体的に市場に投入された車種としては、前述の「IPL Gクーペ」が挙げられます。これは2010年12月に北米市場で発売され、IPLブランド最初の市販モデルとなりました。G37クーペをベースとしながらも、IPLによる専用チューニングや内外装の変更が施され、標準モデルとは異なる特別な存在として提供されました。

IPLは、インフィニティブランド全体のスポーティイメージ向上と、高性能モデルを求める顧客層へのアピールを目的として設立された部門であり、その活動はインフィニティのブランド戦略の一環として位置づけられていました。

関連項目

インフィニティ
日産自動車

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