インペラートル・アレクサンドル3世 (戦艦・初代)

インペラートル・アレクサンドル3世

インペラートル・アレクサンドル3世（Император Александр III）は、ロシア帝国海軍に属する戦艦で、艦隊装甲艦に分類されています。この艦は、ボロジノ級の二隻目として知られ、名前はロシア皇帝アレクサンドル3世に由来しています。艦は独自のデザインを持ち、当時の海軍戦力において重要な役割を果たしました。

艦歴

日露戦争の際、インペラートル・アレクサンドル3世はバルチック艦隊に所属し、同型艦のクニャージ・スヴォーロフ、ボロジノ、オリョールと共に第1戦艦隊を結成しました。この艦隊は、第2太平洋艦隊として極東に派遣され、ここで日本海海戦に参戦することになります。

1905年5月27日、インペラートル・アレクサンドル3世は艦長ニコライ・ブフヴォストフ大佐の指揮のもと、戦闘に参加しました。この日は別の戦艦クニャージ・スヴォーロフが艦隊の旗艦であり、最初はその後方に位置していました。しかし、14時30分、旗艦が舵機を破壊され、急回転を余儀なくされると、ブフヴォストフ艦長は即座に指揮を取り、艦隊を導く役割を果たしました。

日本海軍の砲火が集中的に浴びせられる中、インペラートル・アレクサンドル3世はたった15分の檄火の中で猛攻を受け、戦列から外れました。その後、一度は持ち直し再び艦隊の先頭に立ちますが、16時から始まった砲戦では、再度戦列から離れることになりました。

18時頃の砲撃戦では、艦は10隻の主力艦の中で6番目に位置していましたが、左舷に傾きながらも戦闘を続けました。しかし、艦首に大きな損傷を受け、徐々に姿勢を崩し始めます。この結果、艦は左側に傾きながら脱出を試みましたが、乗員の努力も虚しく、19時頃に左舷側から転覆し沈没しました。

艦が沈没する際、後続の艦ナヒモフからは数名の乗員が艦から滑り落ちるように脱出する様子が見られましたが、生存者は確認されず、乗員全員の戦死が報告されました。また、インペラートル・アレクサンドル3世の戦闘後、後続艦はその艦に続き艦隊から外れることとなり、結果的に日本海軍の攻撃を受けて各艦が撃破される運命に見舞われました。

このように、インペラートル・アレクサンドル3世は日露戦争における壮絶な戦闘の中で名を馳せた艦であり、戦局の中での重要な役割と悲劇的な運命を背負っています。

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