イン・バウンズ

イン・バウンズ（in bounds）

「イン・バウンズ」は、主として球技など、定められたプレイエリアを持つスポーツにおいて使用される用語で、試合進行が可能な「コートの内側」の領域を指します。英語の「bounds（境界、制限）」に由来し、文字通り「境界の内側」という意味を持ちます。この用語の対義語は、「アウト・オブ・バウンズ（out of bounds）」、すなわちプレイエリアの外側です。

コート上に引かれた境界線（バウンダリー・ライン）が、イン・バウンズとアウト・オブ・バウンズを区別する基準となりますが、その線自体をイン・バウンズに含むか含まないかは、競技によって定義が異なるため注意が必要です。

バスケットボールにおけるイン・バウンズ

バスケットボールでは、コートを囲むサイドラインとエンドラインで形成される長方形の区域のうち、これらの境界線そのものは含まず、その内側の空間全体がイン・バウンズと定義されます。バウンダリー・ラインの幅は約5センチメートルです。

特定のルールが適用される区域（例：3ポイントエリア、フリースローレーン）を定める際にも、同様に線そのものは区域に含まれません。たとえば、3ポイントラインを踏んで放たれたシュートは、ラインの外から打たれたものとみなされ、3ポイントとは認められません。また、フリースロー時にフリースローレーンのラインに触れるとバイオレーション（反則）となります。

空間的な定義も重要です。バスケットゴールやバックボード、それらを支える支持体は、原則としてイン・バウンズの空間内に存在するものと見なされます。しかし、バックボードの裏側や、それらをコート後方から支える支持体は、アウト・オブ・バウンズとして扱われます。

プレイヤーやボールの状態がイン・バウンズかアウト・オブ・バウンズかは、最後にコートに触れた場所によって判断されます。プレイヤーやボールがアウト・オブ・バウンズの地面や物体に触れた時点で、その状態はアウト・オブ・バウンズとなります。空中にあっても、最後にイン・バウンズに触れていた場合はイン・バウンズの状態と見なされます。

ドリブル中のボールが手に触れていない状態であっても、ドリブルしているプレイヤーがアウト・オブ・バウンズになれば、ドリブルは継続できません。ただし、ボール自体がまだイン・バウンズの空間にある場合、他のイン・バウンズのプレイヤーが触れることは問題ありません。

スローインの際は、ボールもスロワー（スローインを行うプレイヤー）も一時的にアウト・オブ・バウンズの状態ですが、投げ入れられたボールがイン・バウンズのプレイヤーに触れた時点でイン・バウンズとなります。しかし、境界線の上方に延長された仮想の面を越えてボールをコート内に差し出したり、アウト・オブ・バウンズからイン・バウンズのプレイヤーに手渡しでボールを渡したりすることは許されていません。

他の競技におけるイン・バウンズの定義

サッカー

サッカーにおけるアウト・オブ・バウンズの判定は、ボールが境界線（タッチライン、ゴールライン）を「完全に」超えた場合にのみ行われます。つまり、ラインの一部にでもボールがかかっていれば、ボールはイン・バウンズと見なされます。プレイヤーについては、たとえ体全体がアウト・オブ・バウンズに位置していても、ボールがイン・バウンズであればプレイは続行可能です。

アメリカンフットボール

アメリカンフットボールでは、境界線（サイドライン、エンドライン）はプレイエリアの一部とは見なされません。そのため、パスキャッチの際にプレイヤーがラインを踏んでいたり、ライン上でボールを確保したりした場合、インコンプリート（パス失敗）となります。また、ボールキャリアがラインを踏んだ時点でボールはデッド（プレイ終了）となります。

一度アウト・オブ・バウンズに出たオフェンス側のプレイヤーは、ディフェンス側のプレイヤーがボールに触れるまで、プレイに再び参加することはできません。パスをキャッチするためには、ボールに触れたプレイヤーがイン・バウンズに触れているか、キャッチ後にイン・バウンズに着地する必要があります。

アイスホッケー

アイスホッケーでは、リンクを囲むフェンスの内側がイン・バウンズの区域です。パックがフェンスを越えてリンク外に出た場合、レフェリーがホイッスルを吹いてアウト・オブ・バウンズが宣告され、プレイが中断します。意図的にパックをリンク外に出したり、妨害を受けずに放ったパックが外に出たりした場合は、「遅延行為（Delay of Game）」の反則となり、ペナルティが課せられます。

アルティメット

アルティメットにおいても、ラインはイン・バウンズには含まれません。ライン上でディスクをキャッチした場合、アウトと判定されます。ただし、空中でラインを越えても、その後のディスクやプレイヤーが地面に触れた地点がコート内であれば、インプレイとなるルールがあります。オフェンス側のプレイヤーは、原則としてアウト・オブ・バウンズに位置してプレイすることはできません。ディスクに触れたプレイヤーがイン・バウンズに触れていなかった場合、最後に地面や物体に触れていた点がイン・バウンズでなければ、アウトと見なされます。

ハンドボール

ハンドボールでも、バスケットボールと同様に、境界線（バウンダリー・ライン）そのものは含まず、その内側の区域がイン・バウンズとなります。

境界線上がインとなる競技

テニス、バレーボール、バドミントン、卓球、野球など、多くの競技では、ボールやパック、シャトルなどが境界線上に落下したり触れたりした場合、イン・バウンズ（フェア、インプレー）と判定されます。これは、ボールが「完全に」境界線の外に出て初めてアウトとなるサッカーの考え方に近いと言えますが、線そのものに触れている状態をインと見なす点で異なります。

このように、「イン・バウンズ」という基本的な概念は共通しているものの、具体的な適用ルール、特に境界線の扱いについては、競技特性に応じて多様な定義が存在します。

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