イヴァン3世

イヴァン3世ヴァシーリエヴィチの生涯

イヴァン3世ヴァシーリエヴィチ（1440年1月22日 - 1505年10月27日）は、モスクワ大公国の大公として1462年から1505年まで在位しました。彼は「イヴァン大帝」とも称され、ロシア史の中で重要な役割を果たしました。特に、彼はタタールの支配からモスクワを解放し、大公国の領土を著しく拡大しました。この時期、彼は戦争、婚姻、相続など多様な手段を駆使して近隣諸国を征服し、強力な中央集権国家を築き上げました。

統治の初期と領土の拡大

イヴァンは1462年に大公位に即位し、直ちに他の地域の併合に着手しました。1463年にはヤロスラヴリの公領を獲得し、1474年にはロストフの諸公を支配下に置きました。加えて、彼は妹をリャザン大公に嫁がせることで同地域を保護国化し、最終的には1503年に半分を自領に組み入れました。このようにして、イヴァンは多様な地域を併合し、1497年には全域に適用される法典を施行して中央集権の基礎を築きました。

ノヴゴロド共和国との戦い

特に大規模な併合は1478年のノヴゴロド共和国に対するものでした。ノヴゴロドでは親リトアニア派が政権を担っていましたが、イヴァンは遠征によってこの勢力を打倒し、厳しい条約を結びました。1477年にはノヴゴロドを包囲し、直接統治を強いることに成功しました。これにより、ノヴゴロドはイヴァンの支配下に置かれ、彼の権力は一層強化されました。

再婚と文化的影響

1467年に最初の妻を失ったイヴァンは、1472年にビザンツ皇族のソフィヤと再婚しました。この結婚は教皇パウルス2世の後押しによるものであり、モスクワをオスマン帝国に対抗する拠点とする意図がありました。ソフィヤとの結婚をきっかけに、イヴァンは「ツァーリ」という称号を使用し始め、ロシアの国際的地位向上への兆候が見られました。また、イタリアの文化を導入し、モスクワの建築様式にルネサンスの影響をもたらしました。

タタールとの対抗

イヴァン3世の治世中、モスクワ国家はタタールの支配下にある地域と敵対関係にありました。1480年、アフマド・ハンによる攻撃を受けたとき、イヴァンはウグラ川での戦闘に備え、モスクワ軍を結集し、タタール軍の渡河を阻止することに成功しました。この戦闘は、ロシアの独立を象徴する出来事とされるほど重要なものでした。

リトアニアとの戦争

1480年代からリトアニアへの侵攻を開始し、1492年にポーランド王が死ぬとリトアニア大公国領への影響力を強めました。1494年には休戦条約を締結し、両国間の関係は一時的に安定しましたが、1500年には再び戦争を再開し、リトアニア領の占拠を目的とする攻撃を行いました。

後継者問題と政治的混乱

イヴァン3世の死後は後継者問題が表面化し、ドミトリーとヴァシーリーの間で対立が起こりました。暗殺計画や宗教問題が絡み合い、その結果、ヴァシーリーが次代の共同統治者に選ばれることとなりました。1505年、イヴァンはこの激動の時代の中で生涯を終えました。

イヴァン3世は、ロシアの統一を進めた偉大な君主であり、その治世は国の未来を大きく変える基盤となりました。

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