ヤロスラヴリ

ロシアの古都、ヤロスラヴリ：歴史と文化の宝庫

ヤロスラヴリは、ロシア連邦西部、ヤロスラヴリ州の州都であり、ヴォルガ川とコトロスリ川の合流点に位置する歴史都市です。人口は約58万人（2021年推計）を数え、「黄金の環」を構成する歴史都市の中でも最大規模を誇ります。モスクワから北東約250kmに位置し、古くから交通の要衝として栄えてきました。

1000年を超える歴史

ヤロスラヴリの歴史は古く、11世紀初頭、キエフ大公国のヤロスラフ1世によって築かれたことに始まります。その後、モンゴル帝国の支配下にあった時期もありましたが、15世紀後半からはモスクワ大公国の支配を受け、ロシア帝国時代を経て、現在に至ります。

16世紀には、アルハンゲリスクとモスクワを結ぶ交易路の中継地として発展し、17世紀初頭の動乱時代（スムータ）においては、ポーランド軍に占領されたモスクワに代わり、ロシアの事実上の首都として機能した時期もありました。18世紀後半のエカチェリーナ2世による地方行政改革ではヤロスラヴリ県県都となり、大火からの復興を経て近代化が進みました。1917年のロシア革命後には、工業都市としての発展を遂げました。

見どころ満載の歴史地区

ヤロスラヴリには、数多くの歴史的建造物や文化遺産が保存されています。最も古い建物の一つに、救世主修道院（スパスキー修道院）にある救世主顕栄聖堂（スパソ・プレオブラジェンスキー聖堂）があります。1506年から1516年にかけて建てられたこの聖堂は、1216年から1224年にかけて建設された最初の聖堂の基礎の上に建てられています。16世紀には石の城壁が築かれ要塞となり、動乱時代にはクジマ・ミーニンとドミトリー・ポジャルスキー公爵の国民軍がモスクワ解放に向けて出撃した地としても知られています。

17世紀には、「ヤロスラヴリ式」と呼ばれる赤レンガと白いタイルを組み合わせた特徴的な聖堂が数多く建てられました。預言者イリヤ聖堂（イリヤ・プロローク聖堂）はその代表例で、印象的なフレスコ画が内部を飾っています。

1750年築のヴォルコフ劇場はロシア最古級の劇場として知られ、ロシアの産業家デミドフ家の功績を記念したデミドフ記念柱（現在は再建されたもの）も市のシンボルとなっています。

その他にも、ロシア正教会の聖堂、古儀式派の聖堂、バプティスト教会、ルーテル派教会、モスク、シナゴーグなど、多様な宗教施設が共存する街でもあります。

ユネスコ世界遺産登録

ヤロスラヴリ市街の歴史地区は、2005年にユネスコの文化遺産として世界遺産に登録されました。登録基準は、「建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの」および「顕著で普遍的な意義を有する出来事と直接にまたは明白に関連するもの」です。

交通とスポーツ

ヤロスラヴリは、鉄道、水路、道路網が整備され、モスクワなど主要都市と結ばれています。市内には路面電車も運行しています。また、サッカークラブのFCシンニク・ヤロスラヴリと、プロアイスホッケーリーグKHLのロコモティフ・ヤロスラヴリの本拠地でもあります。

まとめ

ヤロスラヴリは、歴史、文化、そして現代都市生活が調和した魅力的な街です。1000年以上にわたる歴史を刻んだ建造物、活気ある文化、そして豊かな自然環境は、訪れる人々を魅了してやみません。ロシアの歴史と文化に触れたい方には、ぜひ訪れていただきたい都市です。

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