イヴレーア

イタリアの歴史と文化が息づく街、イヴレーア

イヴレーアは、イタリア北西部、ピエモンテ州トリノ県に位置する人口約2万3千人の都市です。カナヴェーゼ地方の中心都市であり、ドーラ・バルテア川のほとりに開けた盆地にあります。この地は、アルプスを越えてフランスへと続く街道の入り口にあたり、古くから交通の要衝として栄えてきました。

古代からの歴史

イヴレーアとその周辺地域には、先史時代から人々が暮らしていました。紀元前5世紀頃にはケルト人が定住し、村を築いていたと考えられています。都市としてのイヴレーアが歴史に登場するのは紀元前100年頃で、共和政ローマが北イタリアへの侵攻ルートを防衛するために前哨基地を築いたのが始まりです。この都市は当時、ラテン語でエポレディアと呼ばれていました。

西ローマ帝国崩壊後、イヴレーアはランゴバルド王国やフランク王国の支配を受け、中世には伯爵領の中心地となりました。1001年には、アルドゥインがイヴレーア辺境領を征服し、後にイタリア王となりますが、その死後、都市は再び司教の統治下に戻りました。12世紀には都市国家として独立しますが、神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世に搾取されるなど、周辺の勢力と争いを繰り返しました。14世紀にはサヴォイア家の支配下に入り、19世紀初頭までその統治が続きました。その後、ナポレオンの支配を経て、サルデーニャ王国、そして現在のイタリアへと歴史を重ねてきました。

産業都市としての発展

20世紀のイヴレーアは、タイプライターメーカーとして創業し、後に計算機やコンピューターの製造を手がけたオリベッティ社の創業地として世界的に有名になりました。市内には、1930年代から1960年代にかけて、イタリアを代表する建築家や都市計画家によって設計された、労働者のための住宅や工場など、コミュニティ運動の建築群が残されています。これらの建築群は、20世紀のアーバニズムと工業化を示す貴重な遺産として、2018年にユネスコの世界遺産に登録されました。

ユニークな祭りと文化

イヴレーアで最も有名なイベントは、毎年2月に開催される謝肉祭です。特に、市民が9組に分かれてオレンジをぶつけ合う「オレンジ合戦」は、そのユニークさで世界中から注目を集めています。この祭りは、中世の反乱を模倣したもので、街を挙げての一大イベントとなっています。

また、イヴレーアは、中世にフランスからローマへ続く巡礼路の一部であったフランチジェーナ街道の一部にもあたっており、歴史と文化が息づく街として、多くの観光客を魅了しています。

イヴレーアへのアクセス

イヴレーアには、鉄道と道路の両方でアクセスが可能です。

鉄道: キヴァッソ＝イヴレーア＝アオスタ線が通り、イヴレーア駅が設置されています。
道路: アウトストラーダA4とA5が近接しており、国道SS26、SS228、SS565が市内を通過しています。

姉妹都市

イヴレーアは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

リューネブルク（ドイツ）
Qaladiza（イラク）
ラダウツィ（ルーマニア）

世界遺産

イヴレーアは、以下の登録基準を満たし、世界遺産に登録されました。

(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

まとめ

イヴレーアは、古代ローマ時代から中世、そして近代へと、長い歴史を持つ都市です。産業都市としての発展、ユニークな祭り、歴史的な建築物など、様々な魅力にあふれています。世界遺産にも登録されたこの街は、訪れる人々に豊かな歴史と文化、そして活力を感じさせてくれるでしょう。

もう一度検索