オリベッティ

イタリアの老舗企業、オリベッティ：タイプライターからシステムソリューションへ

オリベッティ社は、1908年、イタリア・ピエモンテ州イヴレーアでカミッロ・オリベッティによって創業されました。当初はタイプライターの製造・販売からスタートした同社は、その卓越した技術とデザインで世界的な成功を収めます。その後、計算機分野へ進出し、世界初の電動式記録卓上計算機「ディビィジュマ」の発売や、大型電子計算機「エレア9003」の発表など、数々のイノベーションを市場に提供しました。エレア9003のデザインには、著名デザイナーのエットレ・ソットサスが関わっていたことでも知られています。

オリベッティは、単なる機械メーカーとしてだけでなく、革新的なデザインにも力を入れていました。美しいデザインのタイプライターは、多くのオフィスで愛用され、それらは今日でもレトロなデザインとして人気を博しています。中でも、ポータブルタイプライター『ヴァレンタイン』は、その象徴的な存在と言えるでしょう。

しかし、コンピュータ開発への多額の投資や買収したアンダーウッド・タイプライター社の経営不振、そしてオリベッティ一族間の不和など、幾多の困難に見舞われます。1960年代には経営危機に陥ったものの、イタリア財界の支援による再建策によって、難局を乗り越えました。この再建策には、オリベッティ一族の経営権の縮小と大型コンピュータ部門のGEへの委譲が含まれていました。

その後もオリベッティは、プリンタ、ファックス、卓上計算機、パソコンなど、多様な製品を開発・販売し、事業を拡大していきます。1980年代には、イギリスのエイコーン・コンピュータ社やフランスのトムソン社と資本提携を結び、これらの製品をオリベッティブランドで販売するなど、積極的な事業展開を図りました。

1990年代後半には、ベル社に買収された後、パソコン事業を売却。その後、ピレリやベネトングループを含むコンソーシアムを経て、2003年にはテレコム・イタリアグループの一員となりました。現在では、本社をピエモンテ州トリノに移し、主にシステムソリューション事業を展開しています。

日本においては、1961年に日本法人が設立されました。その後、親会社がワング・グローバル、ジェトロニクスと変わり、2007年にはNTTデータとの戦略的パートナーシップにより合弁会社が設立。そして2020年にはNTTデータの完全子会社となり、現在ではNTTデータグループの一員として事業を継続しています。

オリベッティの歴史は、イタリアの経済発展と深く結びついており、タイプライターからコンピュータ、そして現代のシステムソリューションへと、時代と共に進化を遂げてきた企業の軌跡を示しています。その革新的な製品とデザインは、世界中の多くの人々に愛され続けており、企業の歴史に彩りを添えています。 イタリアを代表する企業として、今後もその技術力とデザイン力で世界に貢献していくことが期待されます。

主な事業内容：

システムソリューション
プリンタ（インクジェット、写真印刷用）
ファックス装置
卓上計算機
SOHO向けシステム
写真複写機
レーザープリンタ
銀行、小売業、郵便局など、特定業種向け専用装置
サービスオートメーション

主要な出来事：

1908年：創業
1930年代：海外進出
1948年：世界初の電動式記録卓上計算機発売
1959年：大型コンピュータ「エレア9003」発表
1960年：アドリアーノ・オリベッティ死去、経営危機
1964年：財界による救済再建
1982年：オリベッティ製パソコンM20発表
1999年：ベル社に買収、パソコン事業売却
2003年：テレコム・イタリアグループに吸収合併
* 1961年：日本法人設立

もう一度検索