イージー・ラヴァー

「イージー・ラヴァー」（Easy Lover）は、1984年にリリースされた楽曲で、アース・ウィンド＆ファイアーのフィリップ・ベイリーと、ジェネシスおよびソロで活躍していたフィル・コリンズという、二人の著名なアーティストが共演したデュエット曲です。このコラボレーションは当時大きな注目を集めました。

この楽曲は、フィリップ・ベイリーのソロ・アルバム『チャイニーズ・ウォール』のために制作されました。作詞・作曲は、ベイリー、コリンズ、そしてレコーディングでベースを務めたネイザン・イーストの3人が共同で手掛けました。アルバムの中でも特に反響が大きく、シングルカットされると、世界中で瞬く間にヒットチャートを駆け上がりました。標準的な7インチ・シングル盤に加え、ジョン・ポトカーが手掛けたリミックス・バージョンを収録した12インチ・シングル盤もリリースされ、クラブシーンでも人気を博しました。日本盤の7インチ・シングル（CBSソニー発売）では、B面に収められた楽曲が、オリジナルの「I Go Crazy」から「フォトジェニック・メモリー」に変更されて発売されています。

この楽曲は世界各国の主要チャートで軒並み成功を収め、両アーティストにとって重要な代表曲の一つとなりました。特にアメリカでは、ビルボード誌の総合シングルチャート「Billboard Hot 100」で最高2位に到達しました。R&B／ヒップホップ・シングルチャートで3位、メインストリーム・ロック・チャートで5位、アダルト・コンテンポラリー・チャートで15位となるなど、幅広いリスナーに受け入れられました。その人気の高さから、1985年3月には全米レコード協会（RIAA）よりゴールドディスクに認定されています。一方イギリスでは、全英アルバムチャートで4週連続1位という記録を残しました。この楽曲のミュージックビデオも評価され、1985年のMTV Video Music Awardsでは最優秀オーヴァーオール・パフォーマンス賞を受賞しました。

「イージー・ラヴァー」は、フィル・コリンズのソロ・ライブでも定番として歌われるようになりました。特に1990年の「シリアス・ツアー」でのパフォーマンスは、同年のライブ・アルバム『シリアス・ヒッツ…ライヴ!』に収録され、楽曲のライブでの魅力を今に伝えています。

リリースから長い年月を経ても、この楽曲は様々な形で記憶されています。例えば、2006年発売の人気ゲームソフト『グランド・セフト・オート・バイスシティ・ストーリーズ』では、ゲーム内のラジオ局「Flash FM」のサウンドトラックとして使用され、新しいリスナー層にも届けられました。

フィリップ・ベイリーとフィル・コリンズ、二人の才能が融合した「イージー・ラヴァー」は、パワフルなボーカルの応酬と印象的なメロディ、そして力強いサウンドで、1980年代を代表するヒットソングの一つとしてその地位を確立しました。その普遍的な魅力は、今なお色褪せることなく多くの音楽ファンに愛されています。

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