イーホテルショッピングモール

秋田大町第一生命ビルディングと商業施設・ホテルの変遷

秋田市大町二丁目に位置する第一生命保険が開発した「秋田大町第一生命ビルディング」は、かつて活気あふれる商業施設とホテルを擁していました。この複合施設の歴史は、1987年10月8日の「ファッションアベニューAD」と「秋田ワシントンホテル」の開業に始まります。ファッションアベニューADは、若者から中年層までをターゲットとした54店舗からなる商業施設で、DCブランドショップや専門店のほか、飲食店なども入居していました。一方、秋田ワシントンホテルは391室を有するホテルで、ビジネス客や観光客を主な顧客としていました。

しかし、時代の変化とともに、競争激化や施設老朽化などの課題に直面します。2007年8月末、秋田ワシントンホテルは営業を終了。その後、グローカル・ホテルグループが建物を取得し、「イーホテル秋田」として新たなスタートを切ります。ファッションアベニューADも同グループの運営に移行し、2009年4月には「イーホテルショッピングモール」と名称変更されました。

ショッピングモール内には、スーパーマーケットや飲食店などを集積した「大町こみち」も開業しましたが、テナントの相次ぐ撤退やスーパーマーケットの経営破綻など、苦境が続きます。最終的に、2012年夏にはイーホテルショッピングモールは閉鎖されました。

イーホテル秋田は、ショッピングモールの閉鎖後も営業を継続していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2020年4月24日から休館に追い込まれます。その後、2021年には「イーホテル秋田アネックス」として営業を再開しましたが、再び休館。そして、2023年7月、ホテルメルディア秋田としてリブランドされ、営業を再開しました。

この建物は、現在、イーホテル秋田アネックスとホテルメルディア秋田の2つのホテルが共存する、特異な状況にあります。1階にはイーホテル秋田アネックス、3階にはホテルメルディア秋田のフロントがそれぞれ設置されており、一つの建物内に2つのホテルが営業している状態です。

さらに、建物を所有するColours Internationalは、2020年12月に、イーホテル秋田と旧ショッピングモール部分を大規模な医療モールに改築する計画を発表しました。50億円規模の投資を予定していましたが、Colours Internationalの経営状況悪化により、この計画は頓挫しました。

イーホテルショッピングモールとイーホテル秋田は、秋田市の商業と観光の中心地に位置していたことから、その盛衰は地域経済に大きな影響を与えました。この複合施設の変遷は、日本の地方都市における商業施設やホテルの経営、そして都市開発における課題を浮き彫りにする事例となっています。今後、この建物がどのような形で地域社会に貢献していくのか注目されます。

周辺環境

イーホテルショッピングモールとイーホテル秋田周辺には、サン・パティオ大町、日本銀行秋田支店、秋田銀行大町支店、岩手銀行秋田支店などがあり、ビジネス街としての側面も持ち合わせていました。JR秋田駅から徒歩約10分という立地も、アクセスの良さという利点でした。

沿革

1987年10月8日：ファッションアベニューADと秋田ワシントンホテルが開業
2007年8月末：秋田ワシントンホテルが営業終了
2007年9月：グローカル・ホテルグループがファッションアベニューADの運営権を取得し、イーホテル秋田が開業
2009年4月：商業施設名がイーホテルショッピングモールに変更
2012年夏：イーホテルショッピングモールが閉鎖
2020年4月24日：イーホテル秋田が休館
2020年12月：医療モールへの転換計画発表
2023年7月：イーホテル秋田がホテルメルディア秋田にリブランド

アクセス

JR秋田駅から徒歩約10分
秋田中央交通バス 大町通り停留所または川反入口停留所下車

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