ウィスット・ポンニミット

ウィスット・ポンニミット：タイの漫画界を牽引するアーティストとその影

1976年生まれのウィスット・ポンニミット氏は、タイ王国を代表する人気漫画家です。バンコク出身で、シラパコーン大学デコラティブ・アート学部を卒業。愛称はタムくんで、幼少期から『ドラえもん』や『キャプテン翼』などの日本の漫画に親しみ、その影響を強く受けて育ちました。

日本との深いつながり

1998年にタイで漫画家デビューを果たし、『ヒーシーイット』で人気を獲得しますが、さらなる成長を期し、2003年から3年間、日本に留学。日本語ができない状態からスタートした彼は、神戸YMCA学院専門学校日本語学科で日本語を習得し、京都精華大学にも通学しました。この経験は彼の作品に大きな影響を与え、現在も日本との交流は続いています。日本の漫画雑誌『ロック画報』や『Key Station』、『ビッグイシュー』などへの連載を積極的に行い、日本の読者にも広く作品が知られています。

多彩な作品群と受賞歴

ウィスット氏の作品は、タイ語、英語、日本語など多言語で出版され、国際的な評価も高いです。代表作『ヒーシーイット』シリーズは、2009年に平成21年度文部科学省文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞を受賞するなど、その高い芸術性と人気を証明しています。その他、『everybodyeverything』、『マーマー』、『タムくんとイープン』、『マムアンとマナオ』など、数々の作品を発表し、日本の出版社からも多数の作品が出版されています。アニメーション作品や、個展・グループ展にも積極的に参加し、その活動は多岐に渡ります。

日本の漫画文化からの影響

彼の作品からは、あだち充、高橋葉介、田中政志、高橋ゆたか、手塚治虫といった、日本の著名な漫画家たちの影響が色濃く見て取れます。繊細なタッチとユーモラスな表現、そして人間味あふれるストーリーは、日本の漫画文化を深く理解し、自身の表現に昇華させた結果と言えるでしょう。

性的暴行疑惑

2023年現在、ウィスット・ポンニミット氏に対して性的暴行の疑惑が浮上しています。一人の女性に対する性的暴行を認め、Facebookで謝罪をしていますが、同様の被害を訴える者が複数いるにも関わらず、それらについては明確な回答をしていません。この事件は、彼の才能と実績とは別に、大きな社会問題として注目を集めています。

まとめ

ウィスット・ポンニミット氏は、タイを代表する漫画家として、独自のスタイルと国際的な活躍で知られていますが、性的暴行疑惑という影も併せ持っています。彼の作品世界は日本の漫画文化に多大な影響を受けており、その才能は高く評価されています。しかし、彼の私生活における問題点は、今後、彼の活動や評価に大きな影響を与える可能性があります。この問題は、才能と人格、そして社会における責任という複雑な問題を改めて考えさせるものです。彼の今後の動向が注目されます。

作品リスト

漫画作品

タイ語: 『ヒーシーイット』（ฮีชีอิท）
英語: 『Him Her That』
日本語: 『everybodyeverything』、『マーマー』、『タムくんとイープン』、『マムアンとマナオ』、『帽子の下の煙』、『ブランコ』、『ヒーシーイット アクア』、『ロマンス‐タムくんのラブストーリー短編集』

アニメ作品

『hesheit』
『タムくんアニメ　イエロー』
『タムくんアニメ　グリーン』

その他

『ラッキータイガー2010』（イラスト、自費出版）
『Here I am』（ANAの機内誌「翼の王国」連載）
『SAKEROCK』（PV監督）
『NHKデジタルラジオ』　デジタルMANGA

もう一度検索