ビッグイシュー

ビッグイシュー（The Big Issue）

ビッグイシューは、1991年9月にジョン・バードとゴードン・ロディックによって設立された、社会的な意義を持つストリート新聞です。この新聞は、ホームレスや生活困窮者に正当な報酬を与えることを目的とし、彼らの社会復帰をサポートする役割を果たしています。ビッグイシューはイギリスで生まれ、その後日本に上陸し、今では世界中で発行されています。

設立の背景

ビッグイシューは、イギリスの化粧品会社創業者であるゴードン・ロディックがアメリカで展開されていた、ホームレス専用のストリート新聞に触発されて立ち上げられました。ロディックは、ホームレス経験のある知人ジョン・バードにこのアイデアを伝え、ロンドンでの成功の可能性を調査しました。その結果、ロンドンで発行することに決定し、1991年に第一号が発売されました。

英語の「イシュー」には「問題」と「発行物」の意味があり、名前の「ビッグイシュー」は「重要な問題」を表しています。この革命的な試みは、大成功を収め、英国全土へと広がり、さらに多くの国々に展開されました。

雑誌の内容と特徴

ビッグイシューは、社会問題、特にホームレス問題や生活困窮者の声を特集する一方で、著名人のインタビューやエンターテインメントの情報も提供しています。また、様々な社会的テーマに関する特集や市民運動に関する記事も多く、読者にとって興味深い内容が詰まっています。ここでは、著名な国内外のゲストが表紙を飾り、社会的に排除された人々の状況についての理解を深めることを目指しています。

特に、日本版ビッグイシューでは、草間彌生や真木よう子、羽生善治など多くの著名人が登場し、話題性のあるダイナミックな構成が特徴となっています。また、ホームレスの人々が自らの経験を共有するコーナーや、社会問題への様々なアプローチが紹介されています。

日本における展開

日本では、ビッグイシューは2003年に創刊され、様々な都市で販売が行われています。大阪市を中心に、定期的な発行が行われ、通行人が登録販売者から直接購入できる仕組みが整っています。販売者は顔写真とナンバー入りの身分証を持ち、販売活動を行っており、地域社会における認知度も高まっています。

日本版では、販売者が販売することによって得た収入の一部が彼らの生活支援に繋がっています。販売の仕組みは非常にシンプルで、例えば定価450円の雑誌について、販売者は1冊あたり230円の収入を得られる仕組みとなっています。

販売地域とその影響

ビッグイシューは、全国各地の都市で販売を行い、特に東京や大阪、名古屋などの都市で見かけることができます。販売は主に路上で行われるため、一般の人々と直接接する機会が多く、地域社会とのつながりを育んでいます。このような販売スタイルは、通りすがりの人々に対しても問題意識を持ってもらう機会を提供し、社会的な共感を生む要因ともなっています。

近年の動向

最近では、ビッグイシューが社会的なメッセージを投げかけるだけでなく、販売者が新たに就職口を得るための支援なども行うようになっています。例えば、2019年には、販売者の中から202人が新たに職に就くことができています。このような成果は、ビッグイシューが継続的に社会的影響力を持つ存在であり続けるための重要な成果と言えるでしょう。

また、2023年には、生前に身寄りのないまま亡くなった元販売員を慰霊するための共同慰霊碑が日本各地に建立され、これまでの貢献をたたえる活動も進められています。ビッグイシューは、社会の奥深い問題を扱うと同時に、人々の生活を支えるための動きでもあり、その活動は今後の社会的な課題解決への寄与が期待されているのです。

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