ウィッチ (映画)

『ウィッチ』

2015年に公開されたアメリカ合衆国・カナダ合作のホラー映画『ウィッチ』（原題：The Witch / The VVitch: A New-England Folktale）は、ロバート・エガースにとって記念すべき長編映画監督デビュー作となりました。主演にはアニャ・テイラー＝ジョイとラルフ・アイネソンを迎え、17世紀のニューイングランドを舞台に、魔女という存在への深い恐怖が、ある敬虔なキリスト教徒の家族を内側から引き裂いていくさまを克明に描き出しています。

この作品は公開後、世界中の映画祭で熱狂的な喝采を浴びました。第31回サンダンス映画祭では監督賞を獲得したのをはじめ、多くの映画賞を受賞するなど、その芸術性と斬新な表現が高く評価されました。
批評集計サイトRotten Tomatoesでは、318件のレビューのうち90%が好意的な評価を与え、平均スコアは10点満点中7.77点を記録しています。また、Metacriticでは、46件の批評に基づき、平均スコアが100点満点中83点という高い数字を示しており、圧倒的に肯定的な評価を得ていることがわかります。

ストーリー

物語は1630年、ニューイングランドの地に始まります。敬虔な信仰を重んじるウィリアムとキャサリンの夫婦は、5人の子どもたちと共に、共同体の規律から離れ、森の近くの荒野へと新たな生活の場を求め移り住みます。彼らは厳格なキリスト教の教えに従い、自給自足の生活を送ろうとします。

しかし、平和な日々は突如として破られます。末子である赤ん坊のサムが、一家の目の前で忽然と姿を消してしまうのです。この不可解な出来事が、家族に深い悲しみと同時に拭いがたい不安をもたらします。父ウィリアムは、美しく成長した長女のトマシンに対し、彼女が魔女ではないかという恐ろしい疑念を抱き始めます。

この疑いが引き金となり、家族の間には猜疑心が増幅していきます。互いへの不信感が募るにつれて、一家の精神は次第に均衡を失い、狂気の淵へと沈んでいくことになります。外部からの見えない脅威と、内部からの崩壊。二重の恐怖が家族を追い詰めていく過程が、圧倒的な映像美と音響によって描かれます。

主要キャスト

本作を彩る主要な登場人物と、それを演じる俳優陣は以下の通りです。（括弧内は日本語吹き替え版の声優です）

トマシン: アニャ・テイラー＝ジョイ （貫井柚佳）
ウィリアム: ラルフ・アイネソン （外川隆史）
キャサリン: ケイト・ディッキー （安芸けい子）
ケイレブ: ハーヴェイ・スクリムショウ （佐藤恵）
マーシー: エリー・グレインジャー （谷内友美）
ジョナス: ルーカス・ドーソン

『ウィッチ』は、歴史的な伝承や当時の記録に基づいたリアリティ溢れる描写と、心理的な恐怖を巧みに融合させた作品として、現代ホラー映画に新たな一石を投じました。魔女の物語を通して、信仰、罪、家族というテーマを深く掘り下げた本作は、観る者に強烈な印象を残すことでしょう。

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