ウィリアムズ・FW14

ウィリアムズFW14とFW14B

ウィリアムズFW14は、1991年のF1世界選手権に参戦するために開発されたフォーミュラ1カーです。設計はパトリック・ヘッドとエイドリアン・ニューウェイが担当し、彼らの共同作業が早速結果に結びつきました。FW14は、FW13Bを基にしながらニューハイの空力デザインを取り入れた、彼らの最初の共同作です。特に目を引くのは、その独特なノーズデザインで、コクピット部分がドライバーの肩を露出させる形状になっています。

FW14の技術的特性

このマシンは、従来のセミオートマチックトランスミッションを搭載しており、F1では二チーム目の導入でした。これによりドライバーはステアリング裏のパドルを使ってシフトチェンジを行うことができ、大幅な操縦性向上を実現しています。また、エンジンはルノー製V型10気筒エンジンを採用し、最大274馬力を誇りました。特に注目すべきは、圧搾空気を用いたニューマチックバルブシステムにより、14,200回転で773馬力を発生させる能力を持っている点です。これにより他のライバルチーム、特にホンダやフェラーリに対抗する力を持っていました。

シーズン中のパフォーマンス

1991年のシーズン初め、FW14はセミATに数多くのトラブルを抱えていましたが、それでもマシンの速さは他チームからも認められていました。開幕戦では、同じく強豪であるマクラーレンに対抗し続ける展開が見られました。カナダGPではナイジェル・マンセルが首位を走行していたにもかかわらず、ファイナルラップでリタイアしてしまい、続くメキシコGPでようやく初勝利を挙げることができました。その後も信頼性が高まり、フランスGPとドイツGPではマンセルが3連勝を達成します。

FW14Bとアクティブサスペンション

1992年にはFW14の改良型であるFW14Bが登場します。これはアクティブサスペンションを搭載し、当初は序盤戦のみ使用予定でしたが、その圧倒的な性能から1992年シーズン全体で使用されることとなりました。FW14Bは、路面状況による影響を受けにくく、コーナリング性能に優れたマシンとして評価されました。その結果、1992年のシーズンが始まると、ウィリアムズは3連勝という波に乗り、マンセルは新たな記録を樹立しました。

1992年のシーズンとその成果

最終的に、ウィリアムズは16戦中10勝を記録し、コンストラクターズタイトルを獲得しました。その際、ドライバーズチャンピオンシップでもマンセルが年間14ポールポジションを獲得するなど、特に印象深い成績を収めました。また、FW14Bは今後のF1技術の先駆けとなる重要なマシンとされ、アクティブサスペンションの成功は他のチームにも多大な影響を与えました。2019年にはFW14Bのシャシーナンバー08がセバスチャン・ベッテルによってオークションで270万ポンドの価格で落札され、その人気の高さを示しています。

FW14とFW14Bは、ウィリアムズにとっての歴史的なマシンであり、F1の新たな時代を切り開く基盤となったと言えるでしょう。

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