ウィリアムズ・FW18

ウィリアムズ・FW18の概要

ウィリアムズ・FW18は、ウィリアムズチームが1996年のF1世界選手権に投入したフォーミュラ1カーであり、その設計はパトリック・ヘッドとエイドリアン・ニューウェイによって行われました。このマシンは前年のFW17Bを基にしながらも、新たな規定に合わせて改良され、過去の問題点を解決するために真剣に取り組まれました。

開発の過程

FW18の開発において、ニューウェイは前年のFW17の長所を活かしつつ、不安定なセットアップを改善するため、白紙の状態から設計を見直しました。特に注目されたのは信頼性の向上であり、ルノー・スポールのエンジニアの助けを借りて、油圧システムを徹底的に見直しました。空気力学の調整においても、前作よりセッティング変更に対する反応の良さを追求する必要がありました。

外観については、1996年シーズンから導入されたコックピットのサイドプロテクターに小さなフィンを設けることで、規定を満たしつつも空力性能を向上させる工夫がなされています。また、新たなトーションバー式サスペンションシステムや、レギュレーションに合わせて進化した設計も特徴です。横置きギアボックスを継続して使用する点について、ニューウェイはFW17Bから受け継いだトランスミッションの優秀さを評価しています。

特筆すべき点は、初めて採用した「高レーキ角」です。チームの風洞実験により、高いレーキ角がダウンフォースを大幅に増加させることが確認でき、リスクを考慮しつつ、進化を遂げたFW18ではこれを取り入れました。

1996年シーズンの活躍

FW18は、ドライバーのジャック・ヒルの体格に合わせてコクピットが設計され、快適性が増したことによってドライバーの負担が軽減されました。信頼性も向上し、シーズン中の16レースのうち14回で表彰台に進出。また、ライバルのベネトンやフェラーリが苦しむ中、最終的にはチーム歴代最多の12勝を記録し、FW18はその名を刻む結果を残しました。

ヒルはFW18について、「乗り心地が向上し、タイムアタックが容易になった」と評し、そのシンプルさこそがこの車の最大の魅力であると感じていました。ニューウェイも、ドライバーが運転しやすいと評価してくれたことに喜びを感じており、このマシンに賭けた努力の成果が実を結んだことに胸を撫で下ろしました。

スペック概要

• - シャーシ名: FW18
• - 前トレッド: 1670mm
• - 後トレッド: 1600mm
• - ホイールベース: 2890mm
• - 全長: 4150mm
• - 材質: カーボンファイバー・コンポジット
• - クラッチ: AP
• - ギアボックス: 6速セミオートマチック

• - エンジン名: ルノーRS8/RS8B
• - 排気量: 3000cc
• - 気筒数: V型10気筒
• - 燃料・潤滑油: エルフ

今もなお、多くのF1ファンに語り継がれるFW18は、ウィリアムズチームの黄金期を支えた名車と言えるでしょう。その設計と性能、そしてドライバーとの一体感がもたらした成功は、今後のフォーミュラ1カーに多大な影響を与えることとなります。

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