ウィリアムズ・FW35

ウィリアムズ・FW35

ウィリアムズ・FW35は、ウィリアムズチームが2013年のF1世界選手権に向けて設計したフォーミュラ1カーです。この車両は、前年のFW34の改良版として位置づけられていますが、実際には多くの重要な変更が施されています。特に、ギアボックスやリアサスペンション、ラジエーター、アンダーフロア、排気系統などのパーツは新たに設計されており、その割合は驚くことに全体の80%にも達しました。

初登場とパーツの刷新

FW35は、2013年の初めに行われたヘレステストには参加しませんでしたが、バルセロナでの第2回テストでは姿を現しました。この計測には、ノーズ部分に前後の段差を隠すための化粧板（バニティパネル）が取り付けられており、デザインの美しさと同時に空気力学的な性能向上も目指されていました。

テスト中、FW35は排気口に取り付けた特別なカバーが注目を浴び、さまざまな議論を引き起こしました。テクニカルディレクターのマイク・コフランは、このカバーが規則に則っていると主張していましたが、最終的にFIAの見解を受けて撤去を余儀なくされました。その後も、開幕戦のオーストラリアGPでロングテストを行い、異なるエキゾーストデザインを実験しました。

成績と開発の課題

しかし、このシーズンはウィリアムズの成績が芳しくなく、前年に優勝したことから一転、苦しいレースが続くことになりました。特に、サイドポンツーンのトンネルやコアンダエキゾーストの開発に問題が生じ、コーナリング中の挙動に不安定さが見られました。シーズンの後半にはこれらの問題を解消すべく、いくつかの部分が封鎖された状態で出走することとなりました。

第10戦ハンガリーGPが近づく中、元ベネトン/ルノー社のパット・シモンズがチーフテクニカルオフィサーに就任しました。この変更が影響を与えたのか、ハンガリーGPではドライバーのパストール・マルドナドが10位に入り、ようやくシーズンの初ポイントを獲得しました。さらに、第18戦アメリカGPではバルテリ・ボッタスが8位入賞を果たし、チームにとって重要な成果を上げました。

技術仕様

FW35のシャシーはカーボン・エポキシやハニカム・コンポジットで構成されており、FIAの安全基準に適合しています。サスペンションはフロントとリアともにダブルウィッシュボーンを採用しており、各部が洗練されています。ギアボックスも最新の技術を取り入れたシームレス・シーケンシャル・セミオートマチック制御を採用し、ドライビングの精度を高めています。

エンジンはルノーのRS27-2013、V型8気筒で、当時のF1マシンにおいて最高の性能を発揮するように設計されています。外観や内装についても、細部にわたって最先端の技術が取り入れられ、競争力のあるフォーミュラ1カーとしての地位を確立していました。

このように、ウィリアムズ・FW35は技術的挑戦とともに、シーズン中の様々な試行錯誤を経た、フォーミュラ1の戦士としての役割を果たしました。

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