ウィリアム・ウッダード

ウィリアム・パーソンズ・ウッダード（William Parsons Woodard、1896年9月10日 - 1973年2月19/20日）は、アメリカ合衆国ミシガン州カラマズー出身の宗教研究者です。彼は、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の民間情報教育局において、日本の宗教政策に関して重要な役割を果たし、宗教法人法（宗教法人令）の成立に深く関わりました。

生涯と経歴

ウッダードは1918年にカラマズー大学で歴史学の学士号を取得後、第一次世界大戦に短期間従軍しました。その後、ユニオン神学校で学び、1921年に神学の学士号を取得しました。1924年から1941年までの間、彼は会衆派の宣教師として日本と朝鮮で活動し、札幌、京城、大阪、東京などで布教活動を行いました。

1942年から1947年までアメリカ海軍に従軍した後、1946年から占領終結の1952年まで（1947年の退役後は民間人として）、GHQの民間情報教育局宗教文化資源課で重要な役職を歴任しました。彼は、Chief of the Religious Research Branch, Special Projects Officer, Advisorとして、占領下の日本の宗教政策に大きな影響を与えました。

占領終結後、ウッダードは1954年の国際宗教研究所の設立に携わりました。1961年には、カラマズー大学から名誉神学博士号を授与されました。1966年から1972年まで、彼はクレアモント大学院大学で教鞭をとり、後進の育成に尽力しました。1972年には、自身の経験とGHQ文書を基にした著書『The Allied Occupation of Japan, 1945-1952 and Japanese Religions』を出版し、占領下の日本の宗教に関する貴重な記録を残しました。この著書は後に『天皇と神道―GHQの宗教政策』（阿部美哉訳、サイマル出版会、1988年）として日本語訳が出版されています。

GHQにおける役割

ウッダードがGHQで果たした役割は、日本の宗教界に大きな影響を与えました。彼は、日本の宗教団体を法的に整備し、占領政策に沿った形で宗教活動を管理するための宗教法人法の制定に深く関与しました。彼の専門知識と経験は、GHQが日本の宗教状況を理解し、適切な政策を立案する上で不可欠なものでした。

研究資料

ウッダードの書簡や占領関係文書などは、「William P. Woodard papers, 1896-1974」としてオレゴン大学に所蔵されており、彼の研究やGHQにおける活動に関する貴重な情報を提供しています。

結論

ウィリアム・P・ウッダードは、日本の宗教研究者として、またGHQの宗教政策顧問として、日本の宗教史において重要な足跡を残しました。彼の業績は、占領下の日本の宗教と政治の関係を理解する上で、重要な意味を持っています。

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