ウィリアム・エイモス

ウィリアム・エイモス（William Amos）は、1974年12月4日生まれのカナダの政治家、そして弁護士です。庶民院議員を2期務め、ジャスティン・トルドー内閣ではイノベーション・科学・工業大臣政務官の要職にも就きました。その一方で、議会のオンライン審議中に立て続けに不適切な行動が報じられ、国内外で大きな波紋を広げた人物としても知られています。

生い立ちと教育

エイモス氏はオンタリオ州オタワ市に生まれました。高等教育は、まずオンタリオ州ハミルトン市のマックマスター大学に進み、学士課程を修了しました。その後、ブリティッシュコロンビア州にあるブリティッシュコロンビア大学大学院で政治学を専攻し、Master of Political Scienceの学位を取得しています。さらに、ケベック州のマギル大学でも学びを深めました。

弁護士およびコンサルタントとしての経歴

大学での学びを終えた後、エイモス氏は法律の世界に進みました。ケベック州とオンタリオ州の双方で弁護士資格を取得しています。特に環境問題に関心を持ち、長年にわたり環境コンサルタントとして活動しました。環境問題に関する訴訟にも携わり、専門性を培いました。また、オタワ大学で教鞭を執り、後進の育成にも貢献しています。

政治家としての歩み

2015年、エイモス氏はカナダ自由党の候補として、ケベック州のポンティアック選挙区から庶民院議員総選挙に出馬しました。この選挙で初当選を果たし、同年10月19日に庶民院議員に就任。この選挙ではカナダ自由党が勝利し、ジャスティン・トルドー氏が首相に就任しています。議員として、2017年2月7日から翌年2月6日まで加欧議会同盟執行委員会の委員を務めました。また、同年3月7日から翌年2月13日までは、アメリカ大陸議会同盟カナダ支部の顧問も歴任しています。

2019年の総選挙でも、再びポンティアック選挙区からカナダ自由党の候補として立候補し、再選を果たしました。これにより、同年10月21日から2期目の庶民院議員を務めることとなりました。2019年12月には、ジャスティン・トルドー内閣において、イノベーション・科学・工業大臣政務官に任命され、政府の一員として政策遂行に携わりました。

連続する不祥事

エイモス氏は政治家としてのキャリアの中で、議会のオンライン審議中に立て続けに不適切な行為を行い、大きな問題となりました。

最初の出来事は、2021年4月14日のことでした。庶民院のオンライン審議に参加中、着替えの最中にカメラに映り込んでしまい、全裸の状態が露見しました。この様子に気づいたブロック・ケベコワ所属のクロード・ドベルフィーユ議員が、審議中の不適切な服装について指摘。特に男性議員はスーツとネクタイが適切であると強調しました。これに対し、庶民院議長のアンソニー・ロタ氏は、自身は見逃したがドベルフィーユ議員の観察力に感謝を表明しました。当時の庶民院規則には服装に関する規定があり、発言者が不適切な服装であれば問題となり得る状況でした。この審議は非公開でしたが、ブロック・ケベコワ所属のセバスチャン・ルミール議員がスクリーンショットを撮影し、それがインターネット上に流出。瞬く間に拡散され、騒動となりました。エイモス氏は、ジョギング後に着替えていた際の偶発的な事故であったと釈明し、ツイッター上で謝罪しました。スクリーンショットを流出させたルミール議員も後に謝罪しています。議長のロタ氏は事態を嘆きつつ、オンライン審議中の撮影禁止規則に改めて注意を促しました。

さらに、そのわずか1ヶ月後の2021年5月26日にも、オンライン審議中に別の不祥事を引き起こしました。この時は、カメラがオンになっていることに気づかないまま、手元のコーヒーカップに放尿している様子が映し出されました。この行為がメディアで報じられると、再び大きな批判に晒されました。エイモス氏はツイッターで謝罪し、この責任を取る形で庶民院における職務から一時的に離れる意向を表明しましたが、議員辞職については否定しています。

人物

エイモス氏はオンタリオ州オタワの出身ですが、議員を務めるポンティアック選挙区はケベック州にあります。カナダでは英語とフランス語が公用語ですが、ケベック州は特にフランス語を重視しています。エイモス氏は英語とフランス語の両方を流暢に話すことができ、この言語能力はケベック州の選挙区で活動する上で重要な要素となっています。庶民院の公式ウェブサイトなどでは「William Amos」と表記されており、名については「ウィリアム」のほか、略称である「ウィル」が用いられることもあります。

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