ウィリアム・ド・ワーレン (第3代サリー伯)

ウィリアム・ド・ワーレン（第3代サリー伯）の生涯

ウィリアム・ド・ワーレン（William de Warenne, 3rd Earl of Surrey, 1119年 - 1148年1月6日）は、アングロ＝ノルマン貴族であり、無政府状態のイングランドにおいて特異な人生を歩んだ人物です。彼はスティーブン王に忠誠を誓い、また第2回十字軍に参加し、聖地へ向かう途中で命を落としました。

生い立ち

ウィリアムは、第2代サリー伯である父ウィリアム・ド・ワーレンと、その母エリザベート・ド・ヴェルマンドワの間に長男として誕生しました。彼はフランス王アンリ1世の曾孫でもあり、貴族の家系に育ちました。彼には異母兄がいて、この家族のつながりはウィリアムに多くの影響を与えました。

若い頃、ウィリアムは王スティーブンに仕官し、戦闘中に逃げ出したことで名を馳せました。これは彼にとっての初めての戦いであり、この逃走は彼の名声に影響を与えることになります。父の死去により、彼は1138年に3代目サリー伯に昇格し、さらなる政治的な関与をしていくことになります。

行動と特許状

ウィリアムは、父の死後すぐに多くの特許状に署名しており、弟ラルフと共に両親が発行した特許状の共同寄贈者としても知られています。彼の寄進はほとんどがノルマンディーの修道院へのもので、特にルーアン近郊のロングヴィル修道院への寄進は注目に値します。他にも、ベランコンブル修道院にも寄贈をしており、彼の財産管理能力は高く評価されていました。

また、彼は1147年にルイス修道院に対しても大きな寄付を行い、その際には自らの毛髪が証として使われたことでも知られています。これにより、彼の家族が修道院創設にかかわっていたことが裏付けられます。

第2回十字軍の参加

ウィリアムの人生の大きな転機は、1146年のヴェズレー公会議での十字軍参加の誓願です。彼はフランス王ルイ7世と共に聖地への道を進むことを決意します。しかし、彼の運命はここで暗転します。彼は第2回十字軍の軍勢に随行し、アナトリアでのカドモス山の戦いで戦死しました。

それまでの十字軍は数多くの困難に直面し、ウィリアムらフランス＝ノルマン軍が遭遇したのは非常に厳しい戦闘でした。特に、カドモス山においてトルコ軍による奇襲攻撃を受け、彼を含む多くの騎士が命を落としました。ルイ7世は辛うじて生き延びたものの、ウィリアムの死は彼の家族に大きな打撃を与えました。

家族と結婚

ウィリアムは、ポンチュー伯ギヨーム3世の娘であるエレーヌと結婚しました。この結婚から生まれたのは、唯一の娘イザベル（後の第4代サリー女伯）です。イザベルは後に2度の結婚を経て、その遺産や名誉を受け継ぎました。一度目の結婚はスティーブン王の次男とであり、二度目はヘンリー2世の異母兄弟へと嫁ぐことになります。これにより、彼の血筋は引き続きサリー伯位を維持することとなりました。

ウィリアム・ド・ワーレンの評価は、彼自身の戦闘経験や政治家としての能力によっていますが、何よりも彼の家族に与えた影響は計り知れません。彼の死後も、彼の家族はイングランドの貴族の中でも特に重要な立場を維持し続けました。

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