第2回十字軍

第2回十字軍の概要

第2回十字軍（1145年〜1149年）は、キリスト教徒による歴史上の二度目の大規模な遠征であり、エデッサ伯国がイスラム教徒の指導者ザンギーによって占拠されたことを背景にしています。これは、1098年にエルサレム王ボードゥアン1世によって設立された伯国であり、十字軍国家の中で最初に陥落したものでした。

教皇エウゲニウス3世がこの遠征を提唱し、フランス王ルイ7世や神聖ローマ皇帝コンラート3世を含むヨーロッパの国王たちが行動に参加しました。この時、彼らは分かれて聖地へと進軍しましたが、ビザンツ帝国の領地を経由し、セルジューク・トルコ軍に撃破される運命を辿りました。

背景と発端

1145年、十字軍国家の一つであるエデッサ伯国がザンギーの攻撃を受け陥落したことを受け、ローマ教皇エウゲニウス3世は聖地の救援を呼びかけました。これには、幻想的な救援者「プレスター・ジョン」に関する情報も含まれていました。教皇の呼びかけを受け、シトー会の神学者ベルナールがフランスで勧誘説教を行い、多くの騎士や庶民が参加を決意しました。彼の影響により「聖ベルナールの十字軍」とも呼ばれています。

ただし、この遠征はエデッサの奪還だけに目的が絞られたわけではなく、ドイツ王の対立やビザンツ皇帝の消極的な姿勢も影響し、戦略があいまいな状態で始まりました。

遠征の展開

ルイ7世とコンラート3世はそれぞれ別の経路から進軍しましたが、どちらも小アジアを横断中にトルコ軍に敗北しました。その後、彼らはエルサレムへ集結しましたが、士気は低下していました。この会議の結果、エルサレムの軍団はダマスカスへの攻撃を決定しましたが、この判断には現地の十字軍国家からの反対意見もありました。

1148年7月23日、ダマスカスの包囲が始まりましたが、当地の指導者ウヌルは周囲の水源を封鎖し、多くのムスリム国家からの援軍を要請しました。十字軍は水不足や数の劣勢に苦しみ、わずか4日で撤退を余儀なくされました。

結果と影響

第2回十字軍は、自らの目的を果たすことなく帰還しましたが、リスボンではイベリア半島のムーア人を追い出す成功を収めました。とはいえ、全体としてこの遠征は成果が薄く、結果としてヌールッディーンがダマスカスを支配し、イスラム勢力の一体化を助長する結果をもたらしました。

この失敗の影響は深刻で、西欧諸国は次なる十字軍に対し消極的になり、教皇やベルナールの権威も失墜しました。以後の十字軍は、現地の実情を無視した方針で続き、成功を挙げることなく歴史の中に埋もれていくこととなります。

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